住民孤立...懸命救助 屋根登り助け待つ、阿武隈川・広域に被害

 
自衛隊員に救助される住民ら=13日午前10時ごろ、郡山市水門町

 福島県に未曽有の大被害をもたらした台風19号。中でも中通りを縦断する阿武隈川流域では広範囲で氾濫が発生した。ほかの河川でも氾濫が相次いだほか、土砂崩れも各地で続発。孤立を余儀なくされた虚無感や救助を求める悲鳴。台風の猛威が流域の県民を襲った。

 阿武隈川の氾濫で大きな被害を受けた郡山市では13日早朝から、消防や自衛隊による救助活動が本格化。床上浸水した自宅から消防署員にボートで救出された同市水門町の男性(42)は「屋根に登って助けを待っていたところレスキュー隊に気付いてもらえた。ほっとした」と胸をなで下ろした。

 大雨から一夜を明かした市民は、浸水した住宅の片付け作業に追われた。

 同市石渕町の女性(72)は、自宅ガレージや管理する駐車場でごみや泥を片付けた。「家具や漬物おけ、油の一斗缶などが流れてきた。こんなにひどいのは初めて。油の臭いが取れない」と不安をのぞかせた。

 須賀川市の江持地区では住宅の1階屋根付近までが水に漬かり、低い土地は水没した。同地区の男性(38)は13日午前2時ごろ、家族5人で自宅近くの会社事務所に避難。難を逃れ、夜明けに様子を見に行くと、家は浸水して変わり果てた光景が広がっていた。「どうしようもない。涙も出ない」。男性は天を仰いだ。

 「もうすぐボートで助けに行きます。もう少しだけ頑張ってください」。同市和田の浸水地区では、避難できなかった高齢者らが待つ家の上空に須賀川地方消防本部の救助隊員らが小型無人機ドローンを飛ばし、救助を待つ人たちを励ました後、ボートで救出。救助された人たちは水際で待っていた親類らと抱き合って無事を喜んだ。

 鏡石町成田地区は阿武隈川が氾濫して水没、一時約80世帯が孤立した。町によると、その後にある程度水が引けて孤立状態から回復、ボートに乗って自宅の様子を見に行ったり、ペットを連れてきたりする住民もいた。

 同地区に住む派遣社員男性(39)は13日未明に知人から「水が流れる音がする」と聞き、慌てて避難。「20年ぐらい前にも川の水があふれたことがあったが、ここまでひどくはなかった」とため息をついた。

 水田が一面浸水した地域もあった。農業、男性(63)は今月初旬から稲刈りを始めたばかり。「稲が全て駄目になって、買ったばかりのトラクターも水に漬かった。泣くに泣けない」と嘆いた。

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