台風19号、福島県の死者28人 夜遅く大雨、犠牲者大半は高齢者

 

 記録的な大雨をもたらした台風19号の被害で、行方が分からなかったいわき市の女性(97)が16日、同市で遺体で見つかった。福島民友新聞社の午後6時現在の集計で県内の死者は28人となった。2人はいまだ行方が分かっていない。全国で最も多い犠牲者が出ている県内。専門家からは、広範囲で記録的な雨量となったことから「早めに避難する必要があった」との指摘が出ている。

 「膝まで水に漬かり、恐ろしかった」。阿武隈川の氾濫で、JR本宮駅周辺の市街地が水没した本宮市。自力で避難した30代男性はそう振り返った。阿武隈川から同駅までは数百メートル。濁流が押し寄せ、多くの建物が浸水した。

 本宮市は阿武隈川と安達太良川が合流する地点。「水位の上がった本線が支線の流れをせき止める『バックウオーター現象』が起き、水があふれた」。自然災害科学や水工学を専門とする福島大共生システム理工学類の川越清樹教授(48)はそう分析する。阿武隈川は本県から宮城県に流れる1級河川。「こうしたリスクの高い場所が点在している」と話す。実際に県内でも阿武隈川は複数の市町で堤防が決壊。県などによると、ほかの河川を含めると県内49カ所で堤防が決壊し、同時多発的に広範囲で被害が出たことが多くの犠牲者につながった。

 今回の台風は夜遅い時間帯に大量の雨が降ったことも犠牲者が増えた要因の一つとみられている。福島地方気象台によると、県内の降り始めは11日午後3時ごろだったが、ピークを迎えたのは12日午後6~9時前後。河川の増水は夜中から未明の時間に当たった。雨量もピーク時の1時間当たりの降水量は最も多かった川内村で60.5ミリ。10月としては観測史上最も多く、それまでの1位だった1999(平成11)年の34ミリの倍近くに上った。

 現在分かっている犠牲者の大半は高齢者で、多くは自宅で見つかった。

 この点について、川越教授は「早めに避難する必要があった」と指摘する。携帯電話に緊急速報メール(エリアメール)が何度も届いたが「情報を受け取った人が動かないと効果が発揮されない」と警鐘を鳴らす。

 今後については川越教授が「温暖化の影響で、短期的に大量に降る雨が増えると予測されており、台風19号のような強力な台風はいつ発生してもおかしくない」という。同様の被害を繰り返さないために「ハザードマップなどで自分がいる場所のリスクを考え、早めに行動してほしい。情報を受け取ってもすぐに動けない高齢者などの事前のケアも必要だ」と指摘している。

 県内「避難指示」全て解除

 台風19号の接近などに伴い12日夕から県内の市町村に出されていた避難指示が16日、全て解除された。同日午後、最後に残っていた本宮市が台風による河川氾濫の恐れがなくなったとして避難指示を解除した。

 台風接近に伴い多くの市町村に大雨特別警報が発令されたことや河川の氾濫の恐れが高くなったことなどを受け、県内では12日夕から13日にかけて避難指示が相次ぎ、ピーク時には20を超える市町村が避難指示を出していた。

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