阿武隈川『氾濫』...全流域に大量雨 8・5水害はるかに上回る

 

 1986(昭和61)年の「8・5水害」時から阿武隈川水系の河川整備や洪水の研究に取り組む日大工学部の長林久夫名誉教授(71)は15日、福島民友新聞社の取材に応じ、阿武隈川の氾濫が流域に大きな被害をもたらした台風19号について「8・5水害時よりもはるかに多い量の雨が、長時間にわたり(阿武隈川の)上流から下流まで満遍なく降ったことが影響した」と指摘した。

 長林氏によると、阿武隈川には上流から下流にかけ、須賀川―郡山市間と二本松―福島市間、本県と宮城県の県境で川幅が狭くなっている「狭窄(きょうさく)部」があり、従来、これが治水上の課題となっているという。

 「8・5水害」では上流を中心に雨が降ったが、今回は、巨大台風が上流から下流まで、流域全体に大量の雨を降らせた。上流と下流の地域で、雨のピークが同じような時間帯だったことからも、このことが分かる。このため、下流から水が抜けずに、特に狭窄部の上流に当たる地域で氾濫を招き、13日になっても水が抜けない地域があったとみられる。

 広域で氾濫危険水位が長時間続いたのも、今回の被害の特徴だという。須賀川、郡山、本宮、二本松各市の阿武隈川や支流河川では、12~13日にかけて、16~18時間にわたり氾濫危険水位を超え続けた。

 一方、堤防が水に漬かる「湛水(たんすい)時間」が長ければ、堤防は崩れやすくなり、決壊が起きやすくなるが、長林氏は「これだけの時間湛水していたら、どこが崩れてもおかしくないが、決壊はまれで、少ない」と指摘。本県で「8・5水害」を受けた阿武隈川の「平成の大改修」で堤防の質的な改良が行われたことを踏まえ「平成の大改修の効果がかなり出ている」との見解を示した。

 ただ「堤防をいくら整備しても、巨大台風などの被害を完全に防ぐことができる保証はない」として「行政も民間も一体となった取り組みをしていかなければ防災力は高まっていかない」と提起した。

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