震災経験...2度目の被災にぼうぜん 浪江からいわき移住の夫妻

 
娘の手を借りて、浸水した家の片付けをする男性(左)=17日午後3時45分ごろ、いわき市

 「まさかここまで(水が)来るとは。水害は地震よりも怖い」。県内に甚大な被害をもたらした台風19号の記録的な豪雨。浪江町から避難し、いわき市平に新居を構えた夫妻を夏井川の濁流が襲った。「どこに行っても同じなのか」。2度目の被災にぼうぜんとした。

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で古里を離れた。約2年前、3人の子どもとその家族が遊びに来られるようにと、同市平の中心部から北に約4キロ離れた夏井川近くの中平窪地区に2階建ての住居を新築。新しい住まいでの生活に慣れ始めたばかりだった。

 異常に気付いたのは12日午後11時ごろ。1階にいた妻(60)が、トイレの水が逆流する音に驚き、2階で寝ていた夫(65)を起こした。濁った水が家に迫っていたが、「2階にいれば大丈夫だろう」と階段を上った。雨がやむのをじっと待つ間にも水位は上昇、階段の踊り場に達した。暗闇の中、「川の流れるような音が聞こえていた」と振り返った。

 市の18日時点のまとめでは市内の4158棟が床上浸水した。夏井川の濁流は933世帯、2228人が暮らす中平窪地区に及んだ。妻は自宅周辺で浸水したとの話を聞いたことがなかったという。

 2人は震災の経験からモバイルバッテリーなど非常時の備えをしていた。ただ水害は想定しておらず「いざというときは車で逃げるだろう」と、飲料水と食料は水に漬かった車に積んでいた。13日午後になって水が少し引いたのを確認して一時、娘の元に身を寄せ、16日に同市内のアパートに移った。

 水が引き、家族や知り合いの手を借りて家の片付けを始めたが、断水のため水が使えず「困っている」という。一帯が被災しているため、渋滞に巻き込まれることも多く、出掛けるにも一苦労だ。

 18日から19日にかけて再び雨が降り、片付けのために一度外に出していた食器やアルバムなどを家の中に運び入れた。家の壁には約2メートルの高さに茶色の線が残り、乾いた泥が塊になってこびりついているものの、かすかに新築の香りが残っている。「家の中を洗ったら、修理してまた住めるようにしたい。仕事もあるしね。何とかなる」と夫は前を向いた。

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