「二次的健康被害」防ぐポイント 相馬中央病院・越智医師に聞く

 
おち・さえ 東京都出身。東京医科歯科大医学部卒。都立墨東病院勤務やインペリアルカレッジ・ロンドン公衆衛生大学院進学などを経て、2013(平成25)年から相馬中央病院に勤務。原発事故に伴う放射線による健康影響に世間の関心が集まる中、長引く避難生活に伴う健康への影響など、見落とされがちな県民の健康被害について情報発信を続けてきた。

 台風19号で浸水被害などを受けた県民が通常の生活に戻るまでにはまだ長い時間がかかるとみられる。今後心配される二次的な健康被害を防ぐためのポイントを、災害公衆衛生などに詳しく、相馬中央病院に非常勤で勤務する越智小枝医師(44)に聞いた。

 ―浸水被害があった地域には大量の泥が流れてきた。その中で、多くの県民が片付け作業に当たっている。
 「まず認識してほしいのは、街中に流れてきた泥は、災害前の通常の泥ではないということだ。下水などが混じってばい菌が多いだけでなく、さまざまな化学物質が含まれている可能性がある。車が流されたことでガソリンが混じったり、農薬や、家庭で使用している漂白剤も泥の中にあったりするかもしれない」

 ―どのような対策が有効か。
 「長袖にゴムやビニールの手袋、長靴などを身に着け、水や泥に直接接触しないよう気を付けてほしい。粉じん対策にゴーグルやマスクも必要。作業中にくぎや木の破片でけがをして、傷口からばい菌が入ってしまわないようにしてほしい。破傷風には特段の注意が必要。片付け作業中に大きなけがをしたら、病院で診てもらう必要がある。断水中だと難しい面もあるが、できるだけ消毒用の水と消毒薬を用意してもらえればと思う」
 「泥に含まれている可能性がある化学物質には、乾いて揮発するものもある。こうした物質の影響はマスクでも防げないので、家の中を掃除するときは通気を良くして行ってほしい。屋内での作業で、目がちかちかするとか、目まいがする、息苦しいなどの症状があった場合は屋外に出るようにしてほしい」

 ―その他、気を付けるべきことは。
 「子どもたちが泥遊びをしないよう、目配りが必要。泥に埋まってしまった大事なおもちゃを再び使う場合、洗剤できれいに洗った上で、60度以上の湯で殺菌するとよいとされている」
 「感電にも気を付けてほしい。水は電気を通すので、ゴム手袋、ゴム長靴姿で。周りが水浸しになるので盲点となりやすいが、洪水の際は漏電などによる火事も多く注意が必要だ」

 ―復旧作業で疲労を感じている人も多い。
 「知らないうちに過剰な精神的ストレスがたまってしまうケースが心配される。洪水被害の場合、全て復旧するまでにはとても時間がかかるが、自分の家が大丈夫だった人は『他の人の方が大変なんだから』といろいろ手伝ったりして頑張り過ぎてしまうことがある。しっかり休憩を取ることを忘れずに。そして休憩中は会員制交流サイト(SNS)を使った災害関連の情報発信は控えた方がいいだろう。そうした情報発信は止まらなくなってしまう傾向があり、休憩できなくなる恐れがあるためだ」

【二次的健康被害を防ぐポイント】
▼泥はばい菌多く、化学物質含む場合も
▼作業は長袖にゴムやビニールの手袋で
▼粉じん対策にゴーグルやマスク着用
▼家の掃除は通気を良くして
▼おもちゃは洗剤で洗い60度以上の湯で殺菌を
▼ゴム手袋、長靴で感電防止
▼頑張り過ぎず休憩を

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