ノーベル化学賞・吉野彰さんに聞く いわき『新産業』の可能性

 
「いわき市で新しい産業が生まれてくる可能性が大いにある」と語る吉野氏=いわき市

 リチウムイオン電池の開発で今年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏(71)=旭化成名誉フェロー=は2日、福島民友新聞社のインタビューに応じた。吉野氏は「無人自動運転機能や技術改良など新しい世界の一端が2025年に見えてくる」と展望した上、いわき市にバッテリー産業を集積する構想について「その時期を目標に進めていくといい。新しい産業がいわきに生まれてくる可能性がある」と語った。

 吉野氏は2次電池試験装置開発・製造を手掛ける東洋システム(いわき市)の創立30周年記念パーティーに出席するため、同市を訪れた。

 再生エネの課題、電気自動車解決

 吉野氏は「AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)など新しい技術との融合で世界は変わり、その流れの中で新しい産業と新しいビジネスが生まれてくる」と説明。構想を実現するためには2次電池試験装置開発・製造の分野で世界的企業に成長した東洋システムを軸に進めることを提案し、「再生可能エネルギーは安定的な電源ではない。その課題を解決するのが電気自動車。無人の車が自分で考え、(太陽光などで)発電し過ぎた時には蓄電するというようなモデルを、いわきで作ることが構想の出発点になる」と助言した。

 またリチウムイオン電池が電気エネルギーをためる機能に優れていることを強調。電気自動車が普及すれば二酸化炭素の排出量削減につながるとして「車がクリーンになれば結果的に発電所もクリーンになるというシナリオができる。そういう意味で環境問題に貢献していく世界が近づいているといえる」と述べた。

 吉野氏は人材育成についての考えも紹介。目標を持ち努力を続けることの重要性を挙げ「目標をつくるためには刺激が必要だ。私がノーベル賞を取ったことも刺激の一つになる。私が繰り返しいわき市を訪問していること、そして東洋システムという世界を制覇している会社が(いわき市に)あることは、福島の子どもたちにとっていいきっかけになる」とした。

 しんどいを何度も...研究開発の原動力

 「しんどいことを何度も繰り返す」ことが研究開発の原動力になっているという吉野氏は「ゴールすれば必ず宝物がある。そういう信念が大事。達成するためには壁を乗り越えないといけないが、早く壁にぶつかった方が、より早くゴールにたどりつくと考える」と述べた。

 震災、原発事故からの復興へ歩みを続ける県民への言葉も寄せ「大変な思いをしているが、逆境からはい上がってくると信じている。バッテリーバレー構想など具体的な道筋が見えてくれば元気が出てくると思う」と語った。

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