「おいしい新酒で恩返し」 台風被害から再開、本宮・大天狗酒造

 
洗米した酒米の状態を確かめる小針さん

 台風19号により浸水被害を受けた本宮市の大天狗酒造が5日、日本酒造りを再開した。12月末には新酒を販売できる見込みで、杜氏(とうじ)の小針沙織さんは「多くの協力に感謝したい。おいしい新酒を造って恩返しがしたい」と決意を新たにする。

 この日は、こうじ造りに向けて、浸水を免れた本宮産酒米「夢の香」の洗米が行われた。「先行きが見えなかった時期を思い返すと、再スタートできてうれしい思いもある」。小針さんや従業員の顔に笑みがこぼれた。

 同酒造は阿武隈川の氾濫により1階が浸水。ボイラーや瓶詰め機が使えなくなったほか、郡山市の精米工場が被災した影響で酒米の5分の4が失われた。

 台風前に新酒の醸造に向けて造ったこうじは2階に避難させていたが、保存環境が整わず、一から造り直すことになった。

 大きな痛手を負った中、多くの支援が再開を後押しした。酒造関係者や販売店、顧客らが連日支援に入り、復旧作業に協力。仕込みは予定より約3週間遅れたものの、新酒の販売は今年中に間に合いそうだという。

 しかし課題も残っている。地元本宮産の酒米にこだわって醸造してきたが、残った本宮産酒米「夢の香」はわずか。不足する分については県産米の代用も検討しているという。

 「課題は尽きないが、前に進んでいかないと何も始まらない」と小針さん。老舗の伝統を継承するためにも「まずはお酒を待っている人に届けなければならない。飲んで楽しんでもらえるように頑張っていくのみ」と前を向いた。

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