減災モデル描く 日大工学部が水害分析、郡山市に検証結果提言へ

 

 台風19号で浸水被害を受けた日大工学部が、福島県郡山市で起きた水害のメカニズム解明、減災のモデルづくりに着手する。阿武隈川などの氾濫によって1986(昭和61)年の「8・5水害」に続く大規模な浸水被害を受けた、大学周辺の田村、安積地区で浸水の状況や市民・学生の避難行動、防災対策などを詳細に分析し、水害対策や地域防災力の向上につなげる。

 大学周辺は阿武隈川と阿武隈川の旧主流だった古川池、古川池に流入する徳定川の三つの水域に囲まれ、台風では最大約2700世帯が被災。周辺に居住する学生約千人も浸水の被害に遭った。

 大学によると、広範囲にわたった今回の水害は徳定川、古川池の増水も影響しているとみられ、水害のメカニズム解析には、この三つの水域がどのような割合で水害を引き起こしたかについて検証する必要がある。大学は水害のメカニズムに加え、周辺に住む学生や住民の避難行動、防災対策などを調査し、防災の仕組みづくりを目指す。

 このプロジェクトに参加する地球科学専門の中村和樹准教授は、ドローンで撮影した写真を大量に組み合わせ、数センチ単位の精度で地形や建物の高低が分かる立体地図を作成している。これと被災直後の国土地理院が撮影した航空写真を組み合わせ、地域ごとの浸水の高さなどを分析し、水害発生の仕組みを調べる。

 併せてこの地域では、帝京安積高に避難した約150人が同校の浸水で、再度避難を強いられるなど避難所開設の課題も浮き彫りになった。同学部周辺に住む学生やアパート管理者などに聞き取りを行い、被害状況と掛け合わせた上で安全な避難経路や避難所の設置なども検証するという。

 プロジェクトチームはコンクリート工学が専門の岩城一郎教授や中村准教授ら約10人で発足。来年3月をめどに、郡山市に対して検証結果を提言し、今後の防災につなげる方針だ。市も情報提供などで協力する。岩城教授は「河川などの氾濫時にどのような行動をとればいいかを意識付け、大学、学生、大学周辺の住民の安全を守れる仕組みをつくりたい。検証結果はほかの地域にも応用できる」と話している。

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