福島県から3人「現代の名工」 木製建具製造工・遠藤さんら

 
水害を免れた作品を前に「また製品を作りたい」と話す遠藤さん

 卓越した技能を持ち、その道で第一人者として活躍している技能者「現代の名工」をたたえる本年度の厚生労働大臣表彰の受賞者が発表され、福島県から3人が選ばれた。

 本県の受賞者は変電員の土井政利さん(76)=郡山市、テクノメタル二本松工場=と左官の室井満昭さん(77)=会津若松市、室井左官工業、木製建具製造工の遠藤清さん(79)=郡山市、藤木工所。表彰式は11日午後2時から、東京・新宿区のリーガロイヤルホテル東京で行われる。

 現代の名工は1967(昭和42)年に技術者の地位と技術水準の向上を図るために創設された。都道府県知事や業界団体の推薦を受けた人から選ばれ、優れた技能を持ち、ほかの技術者の模範と認められることなどが表彰の基準となる。

 ◆木製建具製造工 遠藤清さん(79)

 台風19号による阿武隈川の氾濫で自宅兼木工所が浸水、長年愛用してきた器具や機械が水に漬かった。現在も作業はできない状況が続くが、「時間はかかっても、また製品を作りたい」と力を込める。

 郡山市出身。守山中卒業後、同市や東京都の木工所で修業し、細かな木材を組み合わせる「組子細工」に出合った。その精緻な美しさに魅了され、職人の道へ。1969(昭和44)年に独立した。

 丁寧な手作業による製品は杉やヒノキなどの木材が持つ自然色を生かし、まるで芸術作品のような美しさを放つ。「満足いく製品が完成し、それを見るのが一番の喜び。お客さまに納品する時は、わが子を嫁に出すような気持ちだ」とやりがいを話す。デザイン性と技能に優れた製品を作り出しながら、若手技能者への指導にも力を入れてきた。

 水害では大きな被害に遭ったが、「技術を後世につないでいきたい」との思いは消えない。妻ステ子さん(74)、長男勝徳さん(52)と共に木工所の再建へと歩みを進める。

 ◆変電員 土井政利さん(76)

 「事故は絶対に起こさない。起こさせない」という信念とともに、特別高圧下での電気工事、保安監督に卓越した技能を発揮、後進の教育にも真摯(しんし)に向かい合ってきた。

 いわき市出身。平工高卒業後、国鉄に入った。電車のパンタグラフと接するトロリー線や変電施設の監視、点検、修繕などの仕事を行ってきた。

 「事故が起きてからでは遅い」。トラブルがあれば原因を突き詰め、防止策を考えた。事故を未然に防ぐために、何をすべきかを常に考えてきた。退職後は大手メーカーの県内工場などを経て、現在は二本松市で働く。「技能継承はもちろん、自身の技能もさらに高めたい」と向上心は衰えない。

 ◆左官 室井満昭さん(77)

 「ゼロから作り上げるのが面白さ。いつも無我夢中でやってきた」と話す。

 下郷町出身。旭田中(現下郷中)卒業後、東京都の左官業の会社に住み込みで働き、技術を身に付けた。その後は会津若松市に戻り、1967(昭和42)年に独立した。

 耐火性、耐水性、耐久性を保ち美しく仕上げる「なまこ壁」や、漆喰(しっくい)で細部まで丁寧に仕上げる「家紋作り」などの伝統的な技法を生かし、多くの文化財修復に携わった。天鏡閣や御薬園の修復では、一度はがした壁を水で戻して再利用するなど昔ながらの配合で壁を仕上げた。「配合は仕上がりを左右する大事な要素。元気でいる限り、後進に伝えていきたい」と話した。

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