福島県特産物『献上』の喜び...皇位継承「大嘗祭」にコメや果物

 
手塩にかけて栽培したリンゴを献上した樅山さん

 14日夜から15日未明にかけて行われた皇位継承の重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」では、全国各地の特産物が儀式の場に並び、本県からもコメや果物などが供えられた。「名誉なこと」「本県の味を発信できた」。台風19号の被害を受けながらも、自慢の作物を献上した生産者は安堵(あんど)の表情で喜びを語った。農産物は全農県本部が供納団体として県から推薦を受け、猪苗代町の精米1・5キロ、福島市のリンゴ10個、いわき市のナシ20個、天栄村の菌床シイタケ30個を用意。生産者や職員が10月30日と今月12日に宮内庁に納めた。このほか、本県からは相馬沖で取れた干しマガレイも献上されている。

 【福島・リンゴ】樅山和一郎さん「安全アピール」

 リンゴ「サンふじ」を献上した福島市飯坂町の樅山和一郎さん(68)は「大変な名誉。(原発事故で)風評被害が残る福島のリンゴのおいしさや安全・安心をアピールできれば」と期待する。

 10月初旬ごろ打診を受け、その後は失敗ができないため緊張の日々だったという。気温が下がらず着色が遅れていたが、「何とか赤く色づいた。味は例年通り甘くておいしく、大きさも厳選した」と胸を張る。「自分もなるべく早く息子に譲って世代交代したい」。就農した長男への農業継承にも意欲を語った。

 【いわき・ナシ】草野富夫さん「福島を発信できた」

 ナシ「新高(にいたか)」を生産したいわき市平上平窪の草野富夫さん(72)は「県を代表する果物として出せたことは名誉なこと」と喜びを語った。

 新高は本来10月初旬に収穫するが、納品に合わせ時期を遅らせたところ、台風19号が直撃。ただ、台風通過後の天候が作用したこともあり「糖度が12、13度で果汁が多く、うま味も十分」と自信を持って出せる味に仕上がった。

 JA福島さくらのいわき梨部会長を務める草野さん。「味には気を使った。生産者の代表として福島のナシの味を発信できたと思う」と話した。

 【天栄・シイタケ】大野一宏さん「何事も真面目にやること」

 「恥じない品だといいが。プレッシャーも感じている」と語るのは、菌床シイタケを生産した天栄村の大野一宏さん(64)。この道40年以上のベテランは「なかなかない機会。選ばれたことはうれしい」と身が引き締まる思いを抱きつつ、笑顔を浮かべた。

 肉厚でしっかりとした歯応え、豊かな甘みが楽しめる自慢のシイタケだ。毎年夏は、ハウスの温度管理に余念がない。
 「経験をいくら積んでも、うまい物は手間を掛けないとできない。何事も真面目にやることが一番だね」と謙虚に喜ぶ。

 【猪苗代・コメ】小林文男さん「言葉にならない」

 精米1.5キロ(県オリジナル水稲品種「天のつぶ」)を供納した猪苗代町のJA会津よつば猪苗代稲作部会長小林文男さん(66)は「10月30日に宮内庁に納めた際、東日本の多くの生産者がおり、ものすごく名誉なことだと改めて実感した」とし、「私のコメ、猪苗代のコメが大嘗祭に供えられ、言葉にならないぐらいうれしい」と喜んだ。令和の時代について「農家を取り巻く環境は一層厳しくなるかもしれないが、細くても長く稲作が続いてくれれば」と期待を込めた。