【台風19号被災・識者に聞く】情報共有し途切れぬ支援『重要』

 
はつざわ・としお 埼玉県蕨市出身。1988(昭和63)年に福島大教育学部助手となり、07年人間発達文化学類教授。16年から現職。専門は経済地理学。

 台風19号による被害発生から1カ月以上が経過する中、いまだ自宅以外の場所で不自由な生活を強いられている被災者も多い。福島大うつくしまふくしま未来支援センターの初沢敏生センター長(57)は震災と原発事故に伴う避難の際の問題を教訓に、「行政とNPOが被災者の情報を適切に共有し、支援が途切れないようにしなければならない」と提言する。被災者支援や復旧・復興を巡り、考慮するべきポイントを3人の専門家に聞いた。

 ―台風19号による浸水被害は広範囲に及び、多くの人が避難を強いられた。現状をどう見ているか。
 「公民館などの避難所に残っている人は少なくなった。浸水被害を受けたままの自宅に戻り、2階などで生活している人もいるが、『泥棒に入られたくない』といった事情でやむなく戻っている人も多いようだ。避難所よりはまし、という判断もあるだろうが、湿気のこもった家の生活で、健康上の問題が出てこないか心配される。一方、借り上げ住宅などに避難先を移す人もいるだろう。その場合に問題になるのは、被災者にどう支援を届けるかという問題だ。特定の避難所に集まっていれば支援は届けやすいが、借り上げ住宅などにバラバラに避難する段階になると届けにくくなる。こうして支援が受けられなくなるケースは、震災と原発事故の際にも問題になった」

 ―震災と原発事故から8年以上たつが、依然として問題が解決されていない?
 「そう。一番問題になるのは、誰がどこに避難したかという情報が開示されないケースだ。個人情報保護のためだと行政は説明する。しかし、信頼できるNPOなどに被災者の情報を出して、NPOに支援を担ってもらわないと対応は難しいと思う。これから先、長丁場になるのに途中で支援が切れてしまってはいけない。実際、震災の時は被災者が『みなし仮設』に移ると、被災者の情報が得られなくなったNPOが支援を打ち切るという事態が起きた」

 ―震災と原発事故の経験をどう生かすか。
 「原発事故は全国に及ぶ広域避難を引き起こしたが、北海道は本県から受け入れた避難者の情報を、信頼関係のあるNPOに開示した。NPOはその情報を基に新聞を作って届けるなどの有効な支援を繰り広げた。北海道での取り組みは成功例と言える。このように行政は支援を担うNPOに情報を開示すべきだが、むやみやたらに開示してしまうのも不用心だ。行政は平時からNPOと連携体制を構築し、信頼関係を築いておくことが望ましい。タッグを組んで災害対応に当たることができるよう、準備しておくべきだ」