【電池の未来・いわきから世界へ】「2次電池」...再エネの鍵に

 
自動車用など大型電池の安全評価に使用する同社の「大型防爆槽」

 ノーベル化学賞の日本人受賞で「リチウムイオン電池」への注目が再び高まっている。繰り返し充放電できる2次電池は本県も掲げる再生可能エネルギー100%社会の実現に欠かせない。中でもリチウムイオン電池は、県内の「電池」のプラットホーム(産業構造)づくりや次世代産業の鍵を握る。

 試験装置開発・製造や受託評価サービスを手掛ける東洋システム(いわき市)。充放電評価装置と安全性試験装置の開発は、1985(昭和60)年に発売された国内初のショルダーホンに始まった。

 「携帯電話なのに携帯できない」。当時計測器メーカーで働いていた庄司秀樹社長(57)は、抱いた疑問の先に電池の性能が大きく関わっていることに目を付けた。

 当時の電池開発は、気が遠くなるほどの回数と時間が必要となる性能試験が課題となっていた。炎天下や氷点下、頻繁に操作する人、しない人など、使い方はさまざま。あらゆる状況を想定した実験が求められた。限りない条件下で、自動で電池性能を確かめられる試験装置があれば電池開発は飛躍的に進む―。取引先だった古河電池の開発員の声に活路を見いだした。

 リチウムイオン電池は構造的に発火や発熱、爆発の危険があり、試験でも安全性の確保が求められた。そこで東洋システムは、自動的に機械でさまざまな条件を実験できる試験装置を世界で初めて導入。過充電や異常過熱、くぎ刺し、落下、浸水など電気的、熱的、機械的の各試験による安全評価と、電池の解体調査や不具合解析などの分析評価をワンストップで行う仕組みを確立した。

 さらに、電池開発の機密情報を保持した中での性能評価受託業務(サービス)が同社の価値を高めた。庄司社長は「利益追求型の大手と違って情報漏えいしない自信が中小の強みとしてある」と話し、数々の挑戦で信頼をつかんだ。

 リチウムイオン電池の生みの親として10月にノーベル賞受賞が決まった旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)は「今、間違いなく世界を制覇している会社。リチウムイオン電池が出た時にいち早く充放電評価装置が必要になると読みきった」と言い切る。

 東洋システムは22日、創立30周年を迎える。