【電池の未来・いわきから世界へ】環境配慮社会に導くEV普及

 
高性能スポーツカー「レクサスLFA」の試乗など、ものづくりの魅力を伝えるイベントで若者の感性を育てる =16日、いわき市小川町

 電気自動車(EV)が環境に配慮した社会を導く―。ノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏(71)が描く次世代社会が近づいている。いわき市で2次電池の試験装置開発・製造や評価システム構築を手掛ける東洋システムの庄司秀樹社長(57)は「蓄電が環境配慮社会の鍵を握っている」と次の一手に知恵を絞る。

 吉野氏が描く未来はこうだ。リチウムイオン電池を搭載するEVは移動手段としてだけでなく、太陽光など自然エネルギーをため込む蓄電池になり得る。そのためEVが普及すれば、車の二酸化炭素(CO2)排出だけでなく、電気を生み出す発電所のCO2排出も抑えることにつながる。

 吉野氏は、いわき地域にバッテリー産業を集積させる「いわきバッテリーバレー構想」について「再生可能エネルギーの課題をクリアできるのが電気自動車。新しい産業が生まれ、そういうモデル地区をつくることが出発点になる」と話す。

 東洋システムの2次電池評価装置も環境配慮社会に大きく関わる。独自の電池寿命予測技術や劣化判断技術に加え、これまでに培ったさまざまな特許やノウハウが活用できるからだ。次の社会を見据え、庄司社長は「CO2フリー社会」と「電池と水素のベストミックス」をキーワードに挙げる。

 液晶や半導体のように電池でも海外との主導権争いに敗れれば、日本の自動車、カメラなどあらゆる分野で規格が握られるだけでなく、雇用にも影響する。庄司社長はそのための対策の一つにプラットフォーム(産業構造)づくりの必要性を指摘する。「20年先を見れば水素だが、10年先はまだ電池。電池が世界を変える」

 未来を担う子どもたちへ「伝える」ことも大切な役割となる。同社は燃料電池教室やEVアカデミー、ものづくりの最高峰ともいえる高性能スポーツカー「レクサスLFA」の試乗など体験イベントを通してものづくりの大切さを伝えている。「世界と闘えるだけの知力と気力がないといけない。自分から難しいことにチャレンジしていってほしい」と若い力に期待する。