郡山に37年ぶりUターン!名店の総料理長 古里のため料理の技

 
「料理人として長年積み重ねてきた技術を、古里のために役立てたい」と腕を振るう鈴木さん

 料理人として長年積み重ねてきた技術を、古里のために役立てたい―。

 フレンチ・イタリアンの名店「KIHACHI」のレストラン部門(銀座、青山、横浜、名古屋、福岡、大阪の国内14店舗)で20年近く総料理長を務めた鈴木眞雄(まさお)さん(63)=郡山市=はおととし、37年ぶりにUターンし、そんな思いを抱きながら腕を振るっている。

 今夏には横浜市で開かれた首相主催の「アフリカ開発会議」で、晩さん会のメニューを考案。各国の首脳ら約120人に、東日本大震災の被災3県の食材を中心とした料理を振る舞った。

 「KIHACHI」創業者で鈴木さんが師と仰ぐ熊谷喜八さんらと共に、食材や調理法について入念な打ち合わせ、試作を重ねた。基本メニューに加え、ベジタリアン食、ハラル食など、参加者の多様な宗教や嗜好(しこう)を考慮したメニューを組み立て、本県産の和梨や白桃を取り入れた料理、県産酒を提供した。

 生まれてから高校卒業までを郡山市で過ごした鈴木さん。21歳で料理の世界に入り、長く熊谷さんの片腕として料理人の道を歩んできた。2015(平成27)年には、内閣府認定公益社団法人全日本司厨士協会の「アカデミー銀メダル章」を受章するなど、国内外で高く評価されている。

 一方で、同市フロンティア大使を務め、地元産食材の魅力発信にも力を入れてきた。震災後、変わらずに品質の高い野菜を作っていながらも、風評被害に苦しむ県内の生産者の声を聞く機会が多く、心を痛めていた。還暦を過ぎたのを機に、腰を据えて古里のために仕事をしたいと、帰ってきた。

 現在は、風評払拭(ふっしょく)や地元のブランド食材を使ったメニューの発信、食関連イベントへの参加、子どもたちへの食育教室などに力を尽くしている。地元テレビにも多く出演し、いわき市生まれの俳優・神尾佑さんが主演する福島中央テレビ(FCT)制作のミニドラマ「どうしても呑みたい夜がある」にも料理を提供している。