【常磐線・試運転ルポ】富岡-浪江間、運行再開に向け準備着々

 
浪江駅を折り返し、震災で架け替えた第1前田川橋りょうを通過する試運転列車=18日

 汽笛を高らかに鳴らしながら、銀色に輝く車体がゆっくりとJR常磐線双葉駅(双葉町)に乗り入れた。新築工事中の駅はガラス張りの自由通路がほぼ完成し、着々と運行再開に向けた準備が進んでいた。今はまだ人影のない町で、住民の生活再建を後押しする鉄路の完全復活は間近だ。

 東京電力福島第1原発事故の影響で不通となっている常磐線の富岡―浪江間で18日から始まった試運転。双葉駅に到着した5両編成の車両に乗った社員は、車窓からホームや線路の状況を入念に確認していた。「外装工事はほぼ終わりました」。JR東日本の社員が工事の進捗(しんちょく)状況を説明しながら指さした自由通路内では、作業員が急ピッチで内装工事を進めている。

 駅舎と、線路をまたぐ自由通路を2階部分で一体化した「橋上駅」が設けられるなど、駅は生まれ変わろうとしている。ホームでかざした線量計が示した数値は毎時1マイクロシーベルト以下。住民が安心して利用できるよう先行して除染が進み、かつて周辺で毎時20マイクロシーベルトだったという空間線量は大幅に低下していた。

 駅から南に約1.6キロの場所にある第1前田川橋りょうに移動した。震災で崩落した長さ約100メートルの橋はすでに架け替えが完了。浪江駅で折り返した試運転列車が通過し、橋の安全を確認すると、JR社員は胸をなで下ろした。

 「工事や除染で苦労もあったが、この日の試運転で再開に向けて大きく前に進んだ」。JR東水戸支社の堀込順一設備部長は感慨深げだ。運行再開まで約3カ月。全線再開通とともに、住民の新たな歩みが始まる。