「新ビジネスに挑戦」 東北電力・次期社長の樋口康二郎氏

 
樋口康二郎氏

 4月から東北電力の社長に昇格する樋口康二郎副社長(62)=国見町出身=は10日、福島民友新聞社の取材に「競争が激化し、電気だけでは利益創出が厳しい時代だ。新しいビジネスに挑戦していきたい」と、ビジネスモデルの転換に向けた強い意欲を口にした。

 ―今年1年の展望は。

 「電力の小売り自由化で競争が激化している。社会のデジタル化も進む中で、電気事業だけでなく新たなビジネスに挑戦していかなければならない。電気に加えて、顧客の豊かな生活に貢献するためのさまざまなサービスを行うためのビジョンの策定に取り組んでいる。今年はそうしたサービスを展開していく年になる」

 ―4月に送配電部門が分社化される。新体制を率いる初代社長としての抱負を。

 「分社化しても発電から販売まで一気通貫でしっかりと事業運営をして、顧客に低廉で安定した電気を届けるという使命が変わることはない。地域、社会からの信頼を失うことがないよう、ガバナンスを利かせていく」

 ―本県出身者が東北電の社長に就くのは初となる。

 「浜通りの一部は今も時間が止まったままのような地域があり寂しく思う。間もなく震災と原発事故から10年目となるが、特に浜通りは復興道半ば。私自身、自分の地元であるということも踏まえながらできる限りのことをしていきたい」

 ―現在の経済状況をどう見るか。

 「米国とイランの間の緊張による原油価格上昇は予想していたほどではない。ただ高止まりしており、原油価格上昇で電気料金が上がれば産業への影響が出る。影響緩和のため水力なども含めてバランスの良いエネルギーで安く電気を届けられるよう努力したい」

 ―再生可能エネルギーを巡る取り組みは。

 「福島県ではこれまで水力発電のほか地熱発電に取り組んできたが、これからは風力発電にも積極的に関わっていく。東北エリアでの再生可能エネルギーの『メインプレーヤー』となるべく取り組んでいく」

 ―昨年は台風19号などに伴う豪雨が甚大な被害をもたらした。災害への備えについて考えていることは。

 「分社化後も災害時は一体的に対応する。水害で浸水して電源車が使えなくなるようなことがないよう、ハザードマップを確認し、被害が及びそうな場合は事前に高台に移動させるなど、緊急時の対応について訓練を重ねたい」

 ひぐち・こうじろう 国見町出身。福島高卒、東北大工学部卒。1981(昭和56)年に東北電に入社、主に火力部門を歩んだ。常務火力原子力本部副本部長や取締役常務執行役員発電・販売カンパニー長代理などを経て、昨年6月から現職。東日本大震災直後、原町火力発電所長として施設の早期復旧を指揮した。