農業から人を元気に 阿部農縁・寺山さん、交流スペース建設へ

 
阿部農縁敷地内の「SHINSEKIハウス」建設予定地。寺山さんは「人が生きがいを持って元気に暮らせるようにすることが役割」と力を込める

 須賀川市の農園・阿部農縁代表の寺山佐智子さん(51)が、農業を通して人を元気にしようと、農園敷地内で交流スペース「SHINSEKI(シンセキ)ハウス」の建設に乗り出す。新ハウスを拠点に農業体験や料理教室など各種イベントを開き、コミュニティーの活性化や高齢者の健康増進などを図りたい考えだ。

 農園の跡取り娘として生まれた寺山さん。就農以前は、約20年間にわたり訪問看護師などとして働いていた。仕事で農作業ができなくなった農家の自宅を訪れ「明日はうちかもしれない。畑がもったいない」と感じた。そして、結婚と出産を機に実家のありがたみを実感するとともに、食への関心を高めていったという。

 2007(平成19)年に実家で就農したが、両親からは「せっかく病院に就職したのに」と反対があった。一方で寺山さんは、農業の新たな可能性を模索しようと農業体験会や農産物の試食会などの取り組みに奔走。次第に農園はにぎわい、12年に個人農家から法人化した。両親も「こうした生き方もあるんだね」と認めてくれるようになった。社員のほか、農作業などを手伝ってくれる「応援隊」も集う温かみのある農園となった。寺山さんは、作物だけでなく、農園の土や空気をはじめとした空間、人の存在にも価値を見いだす。

 「SHINSEKI」とあえてアルファベット表記にしたのは、新たなハウスによって血縁関係を超えた、さまざまな人のつながりを生み出したいという願いからだ。そして、ハウスの建設は母の阿部正子さんの「農業でほっとできる空間をつくりたい」という夢でもある。

 ハウスは木造平屋で広さは約90平方メートル、調理場や直売コーナー、畳敷きの部屋などを設ける予定だ。来年2月までの建設を目指している。「これからの農家は生産に加え、プラスアルファの取り組みも求められる」と寺山さん。「農業を通して人をつなげたい。人が生きがいを持って、元気に過ごしてもらえるようにすることが、自分の役割」と語る。

 寺山さんは2月28日午後11時まで、ハウス建設に向けクラウドファンディングで資金を募っている。目標額は300万円。支援額に応じて同農園の加工品や果物などを贈る。詳細は専用サイト「レディーフォー」で。問い合わせは同農園へ。