福島県、20年産米「抽出検査」移行 70年前の市町村単位で実施

 

 全ての県産米の放射性物質を測定する全量全袋検査について、県は2020年産米からサンプルだけを調べる抽出検査に移行する。一部市町村は全袋検査を継続するが、検査規模が縮小するため、県が予算案に計上した事業費は8億円(前年度比44億円減)となった。

 県産米は15年産以降、食品に含まれる放射性物質の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を全て下回っている。県は基準値を超えるコメが通算5年間出ないことを条件に、抽出検査に移行する方針を示していた。

 原発事故に伴う避難指示が出るなどした12市町村は11市町村で全袋検査を継続し、川俣町は旧避難指示区域の山木屋地区を除く地域で抽出検査に移行する。南相馬市は避難指示が出た小高区とほかの地域で作付けされたコメを区分することが難しいことから、市内全域で全袋検査を続ける。

 県産米は、国が毎年度末に示すガイドラインで1950(昭和25)年当時に約400あった旧市町村単位で3点を目安に検査することが求められている。このため、県は当時の行政区割りに基づき、抽出検査の密度や点数、対象となる農家などについて関係機関と協議し、4~5月の作付けまでに検査方法を決める考え。

 全袋検査は県産米の安全性を客観的に証明できる利点があるが、農家や集荷業者らが検査場に運び入れる手間や自治体職員が検査業務を担うケースなどの負担が課題だった。検査の緩和によって風評の再燃を懸念する声もあり、県は国や市町村、JAなどと連携し、正確な情報発信に取り組む。

 牛肉検査は全戸年1頭以上

 県は新年度、県産牛肉の放射性物質検査を、現行の全頭検査から全戸年1頭以上の検査(老齢牛は全頭検査)に緩和する。
 老齢の繁殖牛や乳牛が肉用として出荷される場合は全頭検査を継続する。老齢牛は飼養期間が長く、放射性物質を摂取するリスクがあることを考慮した。

 県産牛肉は原発事故後に検査された約17万4千頭が食品に含まれる放射性物質の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を全て下回り、2016年4月以降は50ベクレルを超える検体も出ていない。