松本光弘警察庁長官に聞く 『シンボリックな場所』福島を守る

 
まつもと・みつひろ 神奈川県出身。1983(昭和58)年警察庁入庁。2009年10月から12年4月まで福島県警本部長を務め、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故では被災者の救出救助などを指揮した。警察庁警備局長や官房長などを歴任。公安畑での勤務が長く、国際テロ対策に通じている

 東日本大震災の前後で福島県警本部長を務め、1月17日付で警察庁長官に就任した松本光弘氏(58)が12日、福島民友新聞社のインタビューに応じ、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーや競技開催に向けて福島を「シンボリックな場所」と位置付け、警備対策に力を入れていく方針を示した。(聞き手・執行役員編集局長 小野広司)

 ―東京五輪・パラリンピックでは警備対策が重要になる。福島は注目度が高い。
 「組織委員会や東京都などと連携し、警察でないとできない部分を守っていくのが大きな枠組み。特に福島の場合は聖火リレーのグランドスタートであり、競技も開会式の2日前から行われるシンボリックな場所。福島で何かあってはいけないと、力を入れている。福島でもパブリックビューイングが行われるが、大勢の人が集まる場所での警備対策は非常に意識している。もう一つは交通対策。今の交通量を前提に交通規制をすると、市民生活に大きな影響が出る。期間中は交通量を減らして必要な規制をするのが原則。何でも規制すればいいというものではない」

 ―サイバー攻撃も想定しなければならない。
 「大きな課題。警察だけというより、自ら守ってもらうことを前提にしないと。役所や事業者の方々などと相談しながら、五輪に支障が生じないようにしたい」

 ―震災時に福島県警本部長を務めていた。対応で心掛けていたことは。
 「県民、国民全体が支え合って社会が成り立っていることを改めて実感した。その中で、警察がどういう役割を果たしていくか。県民の方がどう思うかが一番。われわれは逃げるわけにはいかない。他方で警察官も生身の人間。津波に立ち向かっていったら勝てないし、放射能も本当に危なかったら行かせるわけにはいかない。そこのバランスがあった」

 ―震災や東京電力福島第1原発事故で得たことは。
 「原発事故があったときの活動基準がなく、新たに作って対応した。二度とないと信じているが、万が一の備えは必要」

 ―県民にメッセージを。
 「福島はいい所だとしみじみ思っている。原発事故もあったが、県民の皆さんには全国が応援していることを忘れないでほしい」