「スマート社会」実現へ 東北電力次期社長・樋口康二郎氏に聞く

 
ビジネスモデルの転換に向けた決意を語る樋口氏

 4月に東北電力の社長に昇格する樋口康二郎副社長(62)=国見町出身=は6日、福島民友新聞社のインタビューに応じ、人々の快適な生活のための「スマート社会」実現に向けた新ビジネスを展開することで成長を遂げ、社会の発展に貢献していきたいとの考えを述べた。

 ―新たなビジネスモデルへの転換に度々言及している。具体的に想定されるビジネスモデルとは。
 「事業環境が変化する中、従来の電力供給事業の延長線上だけでは持続的な成長はできないという強い危機感を持ち『中長期ビジョン』を策定した。電気事業の枠を超えて、地域の人が快適、安全、安心に暮らすための『スマート社会』実現に向けたビジネスモデルを展開していくことに挑戦するというビジョンだ。そのために想定される事業は、公共インフラの点検へのドローンの活用や、電気自動車のカーシェアリングなどの『地域モビリティーサービス』など。早期事業化を目指したいのは太陽光発電や蓄電池を組み合わせた事業、中でも蓄電池のリース事業などだ」

 ―4月からの送配電部門の分社化後の事業運営について。
 「円滑な事業開始に向けて全社体制で準備している。顧客や地域社会からの信頼を損なわないように事業運営に万全を期す。東北電力ネットワークとは別会社となるが、災害対応では一体となって復旧対応を行う」

 ―新型コロナウイルス感染拡大への対応は。
 「電力の安定供給が最大の責務であり、新型ウイルスによって業務が停滞しないよう万全の体制で対応している。2月25日の政府の基本方針を受けて対応を強化し、不要不急の会議については延期や中止、テレビ会議への変更を行うことなどを指示した。以前から感染症などのパンデミックに備えた事業継続計画(BCP)を策定している」

 ―本県での再生可能エネルギー事業について。
 「奥会津地域は東北、新潟の電力需要を支える水力発電の一大電源地帯であり、柳津には地熱発電もある。福島県は東北電が開発する再エネの先端を担っている地域だ。東北電は風力発電を主軸とした200万キロワット分の開発目標を掲げているが、福島県内でも複数の再エネの案件について検討を進めている」

 ―東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からまもなく丸9年になる。本県復興への思いは。
 「復興は道半ば。特に福島第1原発近隣の街並みは時間が止まったままのようだ。避難されている方の気持ちに寄り添って、地域のため東北電としてできることを積み重ねていきたい。これから帰還する方が、戻ってすぐ電気を使えるよう万全の体制を取りたい」

 ―福島高を卒業した。本県での学生時代を振り返って。
 「福島高時代にゲタをはいて登校した。電車内でゲタが鳴ってうるさいと怒られたことが印象に残っている。福島高は自由を重んじる校風で、そういう所で学ぶことができて良かった。(同校OBとして)いろいろなパイプができていて、私の財産になっている」

 ひぐち・こうじろう 国見町出身。福島高卒、東北大工学部卒。1981(昭和56)年に東北電入社、主に火力部門を歩んだ。常務火力原子力本部副本部長や取締役常務執行役員発電・販売カンパニー長代理、原子力本部副本部長などを歴任し、昨年6月から現職。東日本大震災直後、原町火力発電所長として復旧工事に尽力した。