【激震!コロナショック】首都圏の常連さん...戻ってきてくれる

 
緊急事態宣言解除を踏まえ、再開した高湯温泉の吾妻屋。遠藤社長は「大変だけど、少しずつでも踏み出さないといけない」と話す

 「おやじ、今は迷惑が掛かるから行けない。行けるようになったら、泊めてください」。福島市の高湯温泉にある老舗旅館、吾妻屋。遠藤淳一社長(64)に首都圏の常連客からそんな連絡があった。

 「秘湯」として人気が高い高湯温泉。吾妻屋の昨年度の宿泊客は東京都から来た人が最も多く、千葉、埼玉、福島、神奈川の各県が続いた。この5都県で全体の6割を占めるが、本県以外はいずれも新型コロナウイルス感染拡大を受けた緊急事態宣言が継続している。吾妻屋は、本県の緊急事態宣言の解除を踏まえ14日に再開したが、万が一にも本県に感染を広げてはいけないとの配慮もあってか、首都圏からの宿泊はまだない。

 感染防止対策のため通常の10組から7組に受け入れを制限している。県内客が中心で売り上げは一定程度にとどまるが、再開できたことに手応えも感じている。「少しずつ踏み出さないといけない。首都圏の常連さんは、こちらに来られなくても気に掛けて連絡をくれる。事態が収束したらきっと戻ってきてくれると思う」

 県旅館ホテル生活衛生同業組合によると、県内の旅館やホテルの4月の宿泊者数は前年の4分の1に落ち込んだ。県をまたぐ移動は引き続き自粛が求められ、営業再開後の宿泊者は県内からの観光客などに限定される見通しだ。組合の木村泰司事務局次長(53)は「営業を再開しても、首都圏からの観光客が見込めず、需要は限られる」と指摘する。

 会津若松市の東山温泉にある庄助の宿瀧の湯は16日から同社が運営する2カ所の宿泊施設の営業を再開した。斎藤純一会長(70)は「首都圏からの宿泊客がいないというハンディを背負っての営業。収束後に向けた助走期間として捉えている」と明かす。

 二本松市の岳温泉にあるマウントインも同日、通常営業を開始。飛沫(ひまつ)感染対策を講じたほか、行動履歴を記録するために日帰り入浴の利用客に記名してもらうことにした。宿泊は当面、素泊まりのみで、料理の提供を再開した後も、宿泊客に部屋に持って行ってもらう方式を採用する予定だ。鈴木安太郎社長(40)は「旅館には新しい生活様式に即した運営に変えることが求められている」と話した。

 この週末、県内で人出のあった観光地もある。相馬市松川浦の飲食店、旭亭は16日、店を開けた。伊達市から夫婦で訪れた会社員鈴井勤さん(60)は「宣言が解除されたのを機に海産物や景色を楽しもうと訪れた。早く多くの店に再開してほしい」と期待を込めた。

 一方で自粛を続ける観光地も。下郷町の大内宿では、営業を再開したのは飲食店1軒のみ。大内宿観光協会によると、16日には関東圏や県内ナンバーの車50台以上が訪れ、一部から店舗休業への苦情の声も聞かれたという。大内区長の只浦豊次さん(65)は「住民は感染者ゼロを達成したいと考えている。社会の動向を見ながら営業を再開したい」と話した。

 緊急事態宣言解除後も、本県の観光関係者は手探り状態が続いている。