『内視鏡』世界に安定供給 会津オリンパス、診断精度向上の新製品

 
まつおか・けんじ 大分県佐伯市出身。大分高専卒。1984(昭和59)年4月にオリンパス光学工業(現オリンパス)に入社し、長野オリンパス技術部長、オリンパス生産技術本部長などを歴任。56歳。

 医療用内視鏡や内視鏡洗浄消毒装置の製造を担う会津オリンパス(会津若松市)は、1970(昭和45)年の創業から50周年を迎えた。内視鏡で世界シェアの7割を占めるオリンパス。その中で製造の中核を担い、医療現場を支え続けている会津オリンパスの松岡賢二社長が3日、オンラインで福島民友新聞社のインタビューに答え、世界のトップを走る"前線基地"としての意気込みを語った。

 ―グループを支える前線基地をどのような姿に育てていくか。

 「会津オリンパスはオリンパスグループの中でも特に高い技術を誇り、医療機器のものづくりで世界ナンバーワンの工場を目指そうと掲げている。設備を生かした高精度加工技術と熟練技能者による匠(たくみ)の技の融合が特長で、技術と技能を融合させたものづくりを進める。今後はより競争力の高い製品を生み出し、医療現場に安定供給する。安全・安心な医療機器を使っていただくため、実直、誠実に企業理念を胸に刻んでいく」

 ―8年ぶりにシステム刷新する新製品「EVIS X1(イーヴィス エックスワン)」について聞きたい。

 「4月から欧州とアジアの一部、3日から国内で販売を開始した最先端システムだ。会津オリンパスはスコープを製造する。遠近両方に焦点が合った画像を合成したり、構造、色調、明るさという三つの要素を最適化するなどの新技術が搭載され、病変部の形や色を画面上で強調するなどで診断精度を向上させた」

 ―内視鏡事業の展望は。

 「昨今の内視鏡は消化器内を観察するだけでなく、診断や治療の機能も充実している。現在の医療に内視鏡はなくてはならない。オリンパスの経営戦略には『内視鏡事業における圧倒的ポジションの強化』が掲げられており、世界トップの前線基地として期待に応え、医療に貢献していく」

 ―新型コロナウイルス感染症の影響はあったか。

 「4月1日の着任前から問題がクローズアップされたが、世界中に内視鏡を安定供給するという責任を果たすため、とにかく工場を止めないことを考えた。会社を2班体制とし、2日ずつ交代で勤務した。生産能力自体は下がったが、世界的な在庫は確保できた。満を持して誕生した新システムを全世界に広めるため、6月15日からはフル操業している」

 ―従業員64人で内視鏡製造を開始し、現在は従業員も約2200人に増えた。50年を振り返ってどうか。

 「当時の経営陣が会津での創立を決断した背景には、地域の人の意志が強く努力家で、さらに忍耐強い気質という見方があったようだ。命を預かる精密医療機器の製造に向いていると考えたのだろう。私自身も現場の仕事ぶりを見守る中で、『匠の技』に例えられる微細、繊細な作業ができる地域と実感している」