「営農再開」加速化!避難12市町村 農水省構想、産地形成など

 

 農林水産省は7日、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た県内12市町村の営農再開を加速するための構想を発表した。市町村を超えた広域的な産地形成に加え、加工施設などを建設して農産物を加工し、消費者ニーズに合った付加価値の高い品目として売り出す。2021年度の事業開始を目指し、概算要求に向けた予算を検討する。

 構想の具体化に向け今後、県やJA、市町村、企業などが産地計画を策定し、実施に向けた準備を進める。

 構想では、水田地帯が多く、基幹産業の一つである稲作の場合、JAや米飯加工業者と連携し、コンビニなどで需要がある「パックご飯」製造工場の誘致などを想定。通常の出荷に加え、長期的かつ安定的な販路を確保する。野菜については、大規模に生産されているタマネギやブロッコリーの産地を育成しつつ冷凍保存用のカット野菜などに加工できる施設の建設を見込む。

 畜産の再開に向けては、情報通信技術(ICT)を導入した肉用牛繁殖施設や大規模酪農牧場を核に、生乳生産量の回復を図りつつ肥育用の「もと牛」を増産する体制を構築。飼料を効率的に生産したり、家畜の排せつ物を農地に活用して栄養価の高い土をつくる取り組みも検討する。

 花卉(かき)については、海外向け需要が強い「切り枝」の新たな産地を形成。市町村ごとに集荷拠点を設けて1台のトラックが共同輸送する体制をつくり、コスト低減や品質維持も図る。

 県によると、12市町村で営農を休止した1万7298ヘクタールの農地のうち、18年度末時点で再開したのは5038ヘクタールで、再開率は約29%にとどまる。構想では、これまで市町村単位が主だった営農再開の取り組みを広域的に展開。コスト削減などを実現して集出荷体制や販路を確保するとともに、民間企業の参入を通して農業者の担い手不足解消にもつなげる。