一般的な健康不安...放射線より『苦痛』 福島医大・心理影響論文

 

 福島医大医学部健康リスクコミュニケーション学講座の研究チームが、東京電力福島第1原発事故により県民が被った心理的影響について研究を行った。分析の結果、放射線の健康影響に対する個人的な捉え方「放射線リスク認知」よりも、さまざまな病気に対する一般的な健康不安の方が、県民の心理的苦痛により強く影響していることが分かった。心理的苦痛を抱えた人の支援について「放射線不安よりも全般的な健康不安を支援する方が有効だと考えられる」と指摘している。

 6日付で米科学誌プロスワンに論文を発表した。県民の間でも人それぞれ異なり、意見の対立も招いた放射線リスク認知は、心理的苦痛や偏見と関連することが知られていた。研究チームは今回の研究結果について、放射線不安が大きい(放射線リスク認知が高い)人が、元々一般的な健康不安を抱いているケースが多い可能性があることを指摘している。

 県民と東京都民各416人を対象に2018(平成30)年8月、オンラインで調査を行った。放射線リスク認知や健康不安、心理的苦痛などについて尋ねてそれぞれを指標化し、関連を調べた。

 結果、放射線リスク認知の心理的苦痛に対する影響は小さく、全般的な健康不安の方が影響が大きかった。一方、東京都民には放射線リスク認知と心理的苦痛の間に関係は見られなかった。

 研究チームは、全般的な健康不安への支援が有効だとする結果について、「これまで県内で実施されてきた、さまざまな健康不安に寄り添うコミュニティー支援活動の重要性を裏付ける知見だ」と指摘する。

 研究チームは健康リスクコミュニケーション学講座の博士課程4年柏崎佑哉さん、竹林由武助教、村上道夫准教授の3人。