南相馬・小高、鈍る帰還の足『危機感』 避難指示解除から4年

 

 東京電力福島第1原発事故に伴い南相馬市小高区に出ていた避難指示が大部分で解除されてから、12日で4年を迎えた。解除後、毎月約100人ペースで住民が帰還してきたが、昨春からは10人を切るなど帰還の足が鈍り、6月30日現在で戻ったのは3750人と震災前の約3割。市は「当面は微増が続く」とみるが、帰還者の約半数は高齢者で「近い将来、(住民数が)減少に転じるのは避けられない」と危機感を募らす。

 ◆◇◇若者は仕事重視

 「避難指示は約5年続き、解除まで時間がかかり過ぎた。避難先で『仕事を変えられない』『子どもを転校させられない』など新天地での生活に落ち着く人が多いのは当然のこと」。小高区に住む市議の岡崎義典氏(45)は、古里に戻らない区民の置かれた状況を分析する。

 小高区ではここ4年間で小、中学、高校、医療施設などが再開し、スーパーや住民の交流拠点施設なども相次いで開設され、一定の生活基盤が整った。しかし、働き盛りの若者が重要視するのは仕事。岡崎氏は「小高にはそれが欠けている印象。魅力ある働き口を確保できるかどうか分からない中で帰還する覚悟を持つのは難しい」と指摘する。

 ◇◆◇企業誘致は順調

 市によると、震災当時に住民登録があった小高区の住民は1万2840人。帰還した3750人のうち65歳以上が1825人と約半数。一方、小高商工会の会員数は震災当時313人で、小高区内で事業再開したのは109人にとどまる。

 市内では今春、原町区に本館を構えるロボットの研究開発拠点「福島ロボットテストフィールド」が全面開所した。市によると、拠点の立地効果でこれまでに首都圏などから約40企業・団体の誘致に成功しており、市内に工場を設けるなどして今後、市内全体の雇用拡大が進む予定だ。ロボット関連の従業員の住環境を整えるため市は震災後の避難で増えた空き家の利活用を進めたい考えで「ロボット事業者の住居として小高区などの空き家を活用し、まちに活気を呼び込みたい」としている。

 ◇◇◆注目される地方

 若年層の帰還や移住定住に向けた、小さなともしびもある。小高区で18年、若者世代で組織する起業家集団「ネクストコモンズラボ南相馬」が発足した。団体代表の和田智行氏(43)は「小さく多様な事業が生まれる風土を小高につくりたい」と話す。

 これまでに首都圏を中心に20~40代の起業家10人を呼び込み、酒蔵づくりなどさまざまな事業が動き始めた。起業家が醸す新たな活気で地域の子どもたちが将来「ここで事業を起こしたい」と感じてもらえるような目標を掲げる。

 和田氏は「新型コロナウイルスによる生活様式の転換は、地方が再注目されるきっかけにもなった。最近、小高区でリモートワークする首都圏の人もいる。首都圏の人が安心できる『第二の居場所』としての受け皿をつくるという視点も大切だ」と語る。