福島赤十字病院『防波堤』役割果たす!...収益悪化、厳しい現実

 
新型コロナウイルスの感染者が過ごした病室。大きな窓から外を眺めることができる

 「医療体制は整ってきているし、感染者への対応の仕方も分かってきている」

 福島赤十字病院の渡部洋一院長(62)は、新型コロナウイルスの感染第2波に備える現在と、第1波当時の状況との違いを強調する。ただ、医療資材の配備や病院経営を取り巻く状況は通常とは異なっており、第2波への準備を進める医療機関に対する行政の適切な支援が求められている。

 「4月は、医療資材が入ってこないことがストレスだった」と渡部院長。当時、業者から「これ以上納入できない」との連絡があり、院内は緊迫した。職員がフェースシールドを手作りしたり、防護服代わりにしようと雨がっぱを100円ショップで買ってきたりするほど追い詰められた。感染防護具だけでなく、手術用のガウンも足りなくなったという。

 現在は物資不足は改善されたが、それでもマスクは「配給制」だ。看護副部長の鈴木佳子さん(58)は「長持ちするよう以前とは使い方を変えている」と明かす。

 感染拡大に伴い病院経営も深刻な状況に陥った。感染者受け入れで一般の患者の受診控えが起きたり、感染者病床を確保したため一般の入院患者が減ったりしたことが原因だ。

 渡部院長によると、外来患者数は4月が前年同月比で15%減、5月は同26%減だった。新規の入院患者数も4月は同13%減、5月は同19%減。病院の収益は激減した。「みんな新型コロナで大変な思いをして頑張ったのでボーナスは昨年並みは出したが、経営は大変だ」

 第2波に備え、病棟の半分を感染者用に空けている。行政から「空床補償」が受けられるが、一つの病棟全体を空ける「重点医療機関」ではないため、補償はその分少なくなっているという。渡部院長は「実情に応じて柔軟に対応してほしい」と適切な支援を求めている。

 一般診療や救急医療などこれまで地域で担ってきた役割と、感染者への対応という新しい役割を両立させるのは簡単ではない。「それでも、やっていかなければならない」。渡部院長は言葉に力を込めた。