飯舘初の訪問看護施設「あがべご」8月3日開業 地域医療支えたい

 
手作り看板を手に「村民のニーズをくみ取り、できる支援は何でもやりたい」と力を込める星野さん

 飯舘村に8月3日、村内初となる訪問看護ステーション「あがべご」が開業する。事業を手掛けるのは東京都内の高校で教師などを務め、約3年前に村に移住した星野勝弥さん(67)。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に歩む村のため「訪問看護を通じて地域医療を支え、住民の帰村の手助けになりたい」と力を込める。

 星野さんは東京都の出身。東京大で学び、休学を経験しながらも卒業し、国際基督教大学高(東京都)の国語教師となった。教師の仕事にも慣れ、30歳になったころ、医療への関心を持ち始めた。きっかけの一つは末期がんを患った母親の闘病生活を見てきたことだった。長男の大学進学を機に教師を辞め、55歳で首都大学東京(現東京都立大)の看護学科に入学した。

 2011(平成23)年に起きた東日本大震災と福島第1原発事故。「飯舘村は原発があるわけではないのに、全村避難というつらい出来事を経た。その村で訪問看護をやりたい」との思いが募った。村の大部分に出ていた避難指示が解除された後の17年10月、村への移住を決断した。

 住民基本台帳に基づく村内居住者は7月1日現在、1465人。そのうち5割を超える821人を65歳以上の高齢者が占める。全村避難が続いていた16年9月に再開した「いいたてクリニック」が唯一の医療機関だが、診療は火曜と木曜日の週2回の午前中のみと、医療環境は十分に整っているとは言えない状況だ。星野さんはスタッフとともに自らも訪問看護を行う考えで、「不足する医療環境の穴埋めになるはず」と話す。

 牧師の両親を持ち、「あがべご」という名称はキリスト教で無償の愛を表す言葉「アガペー」と、村特産の「べこ(牛)」から取った。人々を疫病から守るという伝説がある「赤べこ」もモチーフにした。

 約1週間後に迫った開業に向け、星野さんの自宅兼事務所では急ピッチで準備が進む。「訪問看護の事業が軌道に乗ってきたら、訪問介護事業も展開していきたい」と青写真を描く星野さん。「楽しくリラックスできる看護で高齢者の生活の質を向上させ、ここ(あがべご)を拠点に安心して生活できる地域にしていきたい」と意気込む。