生産者に募る不安「今が正念場」 天候不順が農産物に影響

 
「あかつき」の収穫作業に追われる後藤さん=桑折町伊達崎

 長雨や日照不足は、県内で出荷の最盛期を迎えるモモやキュウリなどの農産物にも影響を与えている。梅雨明け時期も不透明な状況の中、収量低下や病害虫の懸念も高まっており、生産者は「今が正念場」と今後の天候に警戒する。

◆モモ出荷量、例年の4割

 「もう少し色づいてくれると良いのだけど」。桑折町のモモ農家後藤哲男さん(62)は話す。後藤さんの果樹園では、モモの主力品種「あかつき」が出荷の最盛期を迎えているが、日照不足で例年に比べ果実の色づきが悪く、2週間前からは園内に日光を反射させるシルバーシートを敷いた。

 長雨で果実表面に「病斑」と呼ばれる斑点が発生する「モモせん孔細菌病」も拡大。出荷量は例年の35~40%ほどに落ち込んでいるという。水滴が当たることで、実が枝に接する部分が焼けただれたようになる「雨焼け」被害も一部にあり、収穫も早めているという。「これから出荷を控える中・晩生種の収穫量も下がるかもしれない」と懸念する。

 ただ、モモ自体は水分を多く含んで大きく育っており、玉張りも良いという。後藤さんは「苦労はあるが、例年より大玉で良いモモができた。多くの人に喜んでもらえるように出荷を続けたい」と力を込める。

◆対策費かさむキュウリ 

 全国有数のキュウリの産地須賀川市。農家の吉田誠次郎さん(63)は「例年の2、3割は収量が下がるだろう」と厳しい現状を語る。
 出荷はピークを迎えているが、実をつける枝が増えないなど生育に影響が出ており、畑にはつるがしおれているものもある。

 定植時期の5月に乾燥し、根の張りが悪かったことも痛手となった。病害虫の懸念が高まるため防除作業にも余念がない。「太陽がないと調子が悪くなるのは人間と一緒」と吉田さん。

 養分入りの液体を入れたペットボトルから土にチューブをつなぐなど対策を取っているが、作業量も資材代も例年の倍以上になっているという。「今が正念場だ」と、収量確保に向けた奮闘が続く。

 長雨や日照不足は稲作にも影響を与えそうだ。湯川米を生産する農業法人「会津湯川ファーム」(湯川村)は、いもち病、カメムシなどの病害虫の流行と、長く伸びた稲の倒伏を懸念する。

 専務の鈴木幸男さん(62)は「水を管理し草が長く育ちすぎないよう気を付けながら、消毒など病害虫の防除を徹底したい」を警戒を強める。鈴木さんによると、病害虫被害は今のところ平年並みだが「曇りや多雨が続き、じめじめしていると、いもち病が広がりやすい」という。いもち病は収穫量の減少、カメムシは品質低下につながる恐れがある。

 また、日照不足の影響で蒸散に必要な窒素などが使われず、茎の成長に使われているため稲の成長が早く、稲の倒伏などがあれば、収穫作業の遅れにもつながるという。