コロナ禍の避難所、感染対策工夫 熊本豪雨・囲い布、面会制限

 
球磨村からの避難者を受け入れている人吉一中体育館。布で家庭ごとに仕切るなど感染症対策が施されていた =7月15日、熊本県人吉市

 記録的豪雨で甚大な被害が出た熊本県球磨村は、災害発生から1カ月がたとうとする現在も、村民が村内外で避難生活を余儀なくされている。人吉市の人吉一中体育館に設けられた避難所では感染症対策にも神経が注がれ、コロナ禍での避難所運営の難しさが浮き彫りとなった。

 避難所の一日は毎朝の検温で始まり、住民への気分に関する問い掛けなど体調管理が徹底される。避難所に出入りする際には手指の消毒が必要で、あらゆる場所にアルコール消毒液が設置されるなど感染症対策が施されていた。

 福島民友新聞社が現地を取材した7月15日時点で避難所には44世帯110人が身を寄せていた。「避難者全体でソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保する空間がないので家族ごとに区切っています」と球磨村審議員の山本美香さんは説明する。簡易ポールを立てて四方を布で囲い、飛沫(ひまつ)による感染を防ぐ取り組みをしていた。

 日々の生活でたまるほこりにも注意を払っているという。ほこりに付いた微細なウイルスを吸い込む可能性を減らすため、段ボール製のベッドをかさ上げして、少しでも地面から離すよう工夫していた。

 避難所を訪れた他県からの応援職員の新型コロナウイルス感染が確認されるという恐れていた事態も起きた。山本さんによると、応援職員の濃厚接触者に該当する避難者はいなかったものの、希望者97人のPCR検査をすぐに実施した。

 検査結果が判明するまで、避難している住民に外出自粛を呼び掛け、外部からの面会を制限した。

 結果的に全員の陰性が確認されたが、避難所に一家で身を寄せていた球磨村の男性(50)は「状況的に(陰性だと思い)大丈夫だとは思っていたが、避難所に不安な空気があった」と緊張感に包まれた様子を明かした。

 災害派遣医療チーム(DMAT)として人吉一中を訪れた枡記念病院(二本松市)災害救急医療部長の石川敏仁医師(51)はコロナ禍の避難所運営について「被災した地域の保健師や医師会だけではなく、DMATやDPAT(災害派遣精神医療チーム)が早期に連携できる体制の構築と情報共有が、避難所で新型コロナを広めない対策として求められる」と強調した。