伝統を守る!じゃんがら念仏踊り 楢葉・大谷で10年ぶりに復活

 
10年ぶりにじゃんがら念仏踊りを披露する会員=楢葉町大谷地区

 浴衣姿の人たちが太鼓や鉦(かね)を打ち鳴らしながら踊りや歌などで先祖を供養する「じゃんがら念仏踊り」。浜通りのお盆の風物詩が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている。後継者を確保し10年ぶりの開催にこぎ着けた地区もあれば、やむなく中止を決断した地区もある。関係者からは「何とか伝統を守っていきたい」との声が上がっている。鎮魂の音色にそれぞれの思いがにじむ。

 楢葉町の大谷地区では13日、2010(平成22)年以来、10年ぶりにじゃんがら念仏踊りが披露された。地元の「大谷じゃんがら念仏踊り保存会」が、東京電力福島第1原発事故による住民の避難などで一時途絶えた踊りを、後継者の育成に力を入れるなどして復活させたもので、会場となった同町の宝鏡寺では住民が感慨深く踊りに見入っていた。

 保存会によると、同地区のじゃんがら踊りは約320年の歴史があり、新盆の供養として行われてきた。15年9月に避難指示が解除され、保存会は2年ほど前に復活の道を模索した。しかし、会員の高齢化が進んでおり、一度は断念することを余儀なくされた。

 その後、住民の帰還が進んだことから、若い世代の後継者を確保できたため、再開にこぎ着けるめどが立った。保存会は、7月から新たに会員となった10~20代の踊り手6人に対し指導を重ね、10年ぶりの披露に備えてきた。

 本番では、若手を含む会員約20人が太鼓と鉦の音を響かせながら踊り流した。保存会の猪狩正興会長(71)は「熱の入った会員の演舞に感激した。来年もじゃんがら踊りを行い、伝統行事を継承していく」と話した。

 いわき、コロナで苦悩

 「正直、不安はあるが先祖供養のために継がれてきた文化をコロナを理由に途切れさせたくない」。いわき市の下神谷青年会長の男性(29)は思いを吐露する。会員約15人と協議し、「3密」の状態を避けるなどの対策を取った上での実施を決めた。例年、各家庭を訪れる際はマイクロバスで移動していたが、今年は自家用車で巡ることにした。訪問先には会員の検温データを提示し、安心してもらう工夫も凝らした。13、14日の2日間で市内の25軒を訪問するが、「断られる家庭も10軒以上あった」という。

 一方、中止を決めた団体の幹部は「やりたいのはやまやまだが、受け継がれてきたじゃんがらの形を崩したくない」と、複雑な心境を語った。現時点では、完全な感染防止策を講じることができないという点も中止を判断した理由になった。

 夏井芳徳医療創生大客員教授によると今年の各団体の対応は「例年通りの実施、規模や形式を変えての実施、中止の大きく分けて三つに分かれている」という。