俳優・渡哲也さん死去 喜多方で銃撃戦ロケ、猪苗代の病院慰問

 
猪苗代町の施設を訪れて県民と触れ合った渡さん=2008年4月

 日活アクション映画や刑事ドラマ「西部警察」で知られる俳優の渡哲也(わたり・てつや、本名渡瀬道彦=わたせ・みちひこ)さんが10日午後6時30分、肺炎のため死去した。78歳。兵庫県出身。14日に家族葬を行った。故人の遺志により、お別れの会などは開かない。

 渡さんは、本県にもドラマ撮影などで足を運び、県民と交流していた。

 渡さんは1983(昭和58)年、西部警察PART3の全国縦断ロケで会津若松市や猪苗代町などを訪れた。中でも建設中だった日中ダム(喜多方市)の現場には約3000万円かけて敵の要塞(ようさい)を建設し、壮絶な銃撃戦と爆破シーンを撮影した。

 ダム近くの熱塩温泉山形屋には、ロケ班の総勢約70人が約1週間宿泊した。当時20代だった社長の瓜生泰弘さん(64)は、渡さんらと杯を酌み交わした。「演じる『大門団長』そのままで本当に格好良く、酒も強かった」と振り返った。

 会津東山温泉の「原瀧・今昔亭」(会津若松市)にも数日宿泊した。当時の従業員で現在、会津武家屋敷の統括部長を務める岩渕忠清さん(65)は「まだまだ長生きできたはずなのに残念です」と悼んだ。

 渡さんと親交が深いリステルグループ社主の鈴木長治さん(87)は「日本、世界の財産を失った思い」と落胆の声を漏らした。鈴木さんの縁で、渡さんはドラマ撮影の合間を縫って、猪苗代町の病院などを慰問した。鈴木さんは「真面目で紳士的な素晴らしい人だった」と、名優をしのんだ。