好みのエレキ音を手作り 福島のエフェクターメーカー

 
手作業でエフェクター作りに取り組む菅野さん=福島市

 エレキギターにつないで音色に変化を付ける「エフェクター」。この専門的な機器を手作りしているメーカーが福島市にある。菅野学さん(31)が1人で手掛ける「フライングティーポット」だ。音も外装もきっちりと作り込まれた、こだわりの製品がギター好きの心を捉え、国内外で支持されている。

 外装にもこだわり

 エフェクターは、エレキギターから出力された電気信号を、電子回路などを使って変え、特色ある音を作る。演奏中の足元にたくさん並べる「かっこよさ」も魅力の一つだ。手作りメーカーは少なく「国内では20もない」(菅野さん)という。

 橘高時代にエレキギターを始めた菅野さんは、東京農工大工学部進学後にバンドを開始。当時は数万~10万円超の高級エフェクターがブームだったが、学生には高価過ぎた。そこで「作れそうだから作ってみよう」。物作りが好きで電気回路の知識もあったため、ネットで回路図を探し、19歳ごろから自分で作り始めた。

 初作品は、音を大きくする「ブースター」というエフェクター。「最初は音が出ただけで満足でした」と振り返る。その後は有名メーカーのエフェクターを参考にいろいろな種類を製作。作品を会員制交流サイト(SNS)で紹介すると「欲しい」という人が現れた。アルバイト感覚で作ってネットなどで販売するうちに軌道に乗り、3年後には仕事になった。

 価格は1~3万円台。これまでに約30種類を販売し、マーシャル社の名品アンプにヒントを得た製品「59プリアンプ」などが人気だ。音作りのアイデアの源は、「1980年代の山下達郎さんらの音楽で聞ける、良質な音」。友達と一緒のときにイメージが湧くこともある。そして自分が感じた「いい音、好きな音」を出すために、回路を設計し、試作を重ねて形にする。

 組み立ては特注の基板に部品を一つ一つ取り付け、筐体(きょうたい)にセットする。外箱は「開けるのが楽しみなように」と特製品を使っている。拠点を3年前に東京から地元に移してからは、筐体製作や塗装などを県北の業者に発注している。質感やデザインの細部に意見を反映できるようになり、製品の品質が高まったという。

 ずっと自分のペースで、好きなことをしている。その理由は「好きじゃないことはやる気がしないから」と、ごく簡単。「努力した意識はないが、好きなことをどう仕事にするか考えた。せっかくなら、自分が得意なことを仕事にすると楽しい」。今後の目標は、しっかりしたものを長く作り続けること。「いい音、楽しい音を届けて、弾き手がギターを好きになる手助けをしていきたい」

 フライングティーポットの製品はホームページで販売。全国の主な楽器店でも取り扱っている。動画投稿サイト「ユーチューブ」のフライングティーポットのチャンネルでは製品のデモ演奏を公開している。