慰霊巡拝や遺骨収集の記録後世に 県遺族会、2021年報告書発刊へ

 
報告書の作成に向けて資料を選定する佐藤さん

 県遺族会は、これまでに実施してきた慰霊巡拝や遺骨収集の活動についての報告書をまとめる。戦後75年の節目に、遺族が抱えてきた思いなどを後世に伝えることを目的とし、来年3月の発刊を目指している。

 慰霊巡拝や遺骨収集は、県遺族会や厚生労働省の主催で中国やフィリピン、硫黄島など14カ所で行われてきた。2001~20年の間には県遺族会から262人が参加した。報告書には、このうち100人の手記などを選んで掲載する予定だ。

 背景には、戦没者の子ども世代も高齢化し、記憶や記録の伝承が難しくなっていることがある。遺族会に残されている資料などを報告書として整理することで、戦争の実態や遺族の思いを孫世代の遺族会員に着実に伝えていく。

 編集に取り組む同会事務局長の佐藤洋孝さん(79)も、慰霊の旅の経験者だ。3歳の時に父親が戦死し、正確な記憶はなかった。戦没した地を訪れた時、父の存在を感じて「お父さん」と叫んだという。佐藤さんは「平和の尊さを知ってもらい、二度と戦争を起こさないよう認識を深めてもらいたい」と話した。報告書は図書館などにも配布する。