思い出の私物と「再会」 震災当時の児童生徒ら、双葉で取り出し

 
私物取り出しのために並べられたランドセル。震災当時の日付の黒板には「じしんくるな~」「おちついてこうどうする」などと書かれていた=双葉町・双葉北小

 東京電力福島第1原発事故に伴う全町避難が続く双葉町で22日、小、中学校や幼稚園に残された私物の取り出しが始まった。訪れた元児童、生徒らはランドセルや学習用具などを手に当時に思いをはせながら、東日本大震災と原発事故の記憶が風化されることなく、語り継がれることを願った。

 特定復興再生拠点区域(復興拠点)内にあるふたば幼稚園、双葉南、双葉北両小、双葉中の除染作業が完了し、復興拠点の立ち入り規制が緩和されたことを受け、初めて行われた。23日までの2日間で、計約90世帯290人が参加する見込み。

 当時、双葉南小3年だった千葉県の大学1年の学生(18)は「地震があったことしか覚えていない。翌日は原発事故でばたばたと避難。あの時どうだったのか、目に焼き付けたかった」と同校を訪れた。

 整然と並ぶ机の上にはランドセルが置かれ、教室や廊下の掲示物はほぼ当時のまま。学生は「生々しくて、その時の雰囲気が伝わってくる。こういう形で学校が残っているのはありがたい。風化の防止につながれば」と話した。

 当時中学2年生だった郡山市の会社員男性(24)は、幼なじみ3人で双葉中を訪れた。教室の壁に貼られた集合写真や机の中から出てきたテスト用紙などを見て、思い出話に花を咲かせた。男性は「昔の楽しかった時間を思い出すことができた。みんなでこの学校を卒業したかった」と惜しんだ。

 私物取り出しは今秋以降にも行われる予定。町教委は今後、検討組織を設置、将来の町内での学校再開や、既存校舎の利用の可否などについて議論を進める。