観光の恩恵は限定的 GoToトラベル1カ月、誘客に苦慮

 
土産物店が並ぶ飯盛山の参道。週末にもかかわらず観光客はまばらだった=22日午前11時20分、会津若松市

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」開始から22日で1カ月となった。県内でも宿泊者が増えた旅館やホテルがある一方、全国的な新型コロナウイルスの感染再拡大や東京都の適用除外などもあり、感染拡大で苦しむ観光地への恩恵は限定的だ。県内でも再び感染が広がる中、県内の観光関係者も誘客への対応に苦慮する。

 「GoToキャンペーンに期待していたんだけど、開始後も客足は戻っていない」。白虎隊士の墓がある会津若松市の観光地「飯盛山」で土産物店「やまが飯盛山店」を営む店長の馬場繁さん(68)はつぶやいた。22日の参道は土曜の日中にもかかわらず、人の姿はまばらだった。

 馬場さんによると、飯盛山は現在、観光客が少ないため土産物店の多くが平日は休業している。「観光客が増えたら平日も営業する準備をしていたけど、今も休みのままだ」という。

 この日、GoToを利用して茨城県から家族で訪れたという会社員男性(58)は「家族のタイミングが合ったから出掛けたけど、遠出しにくい気持ちもあった」と複雑な思いを明かした。

 馬場さんは、教育旅行の予定が入っている9月以降の客足回復に期待する。ただ、19日には会津若松市内で初の新型コロナウイルスの感染が確認され、「教育旅行への影響がなければいいのだが」との懸念を示した。

 福島市土湯温泉の温泉旅館「山水荘」。GoToを利用した宿泊者は多いものの、今月の宿泊者は前年の8月に比べ約半分にとどまっているという。

 同施設では食事の会場で席の間隔を空けたり、エレベーターやドアノブの消毒に力を入れるなど、感染対策を徹底。県内だけではなく、隣県からの宿泊者もいるというものの、渡辺利生常務は「GoToが始まれば観光業は回復すると思っていた。今までのやり方では今後の事業が成り立たない。今後どのようにして観光客を呼び込んでいくか、それが課題だ」と話した。

 ◆対策万全でも残る不安

 郡山市磐梯熱海温泉のある旅館には、新型コロナウイルスの感染拡大以降、予約時に「個室に露天風呂が付いているか」や「部屋で食事が取れるか」との問い合わせが増えているという。

 GoToには期待もあったが、この旅館の経営者は「情報が錯綜(さくそう)して困惑した。思ったより伸びていない状態だ」と表情を曇らせる。また、利用客を受け入れる中で不安もある。同旅館では入館前に非接触型の体温計での検温や、アルコール消毒など感染予防策を実施。経営者は「誰が感染しているか分からない状況で、マスクをしない人がいると不安になる。万全な対策を心掛けているので、お客さんにも協力してもらえれば」と話した。