「早乙女踊り」待望舞台 11月に会津農林高生、発信と継承を胸に

 
11月の早乙女踊りの発表に向けて練習に励む会津農林高の生徒

 東京五輪福島会場イベントへの出演など、新型コロナウイルスの感染拡大で発表の場を失った会津農林高早乙女踊り保存クラブが、11月7日に予定されているとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)開館50周年記念式典で踊りを披露する。発表の場を失っても努力を重ねてきた生徒たちが踊りの発信と継承を胸に、ひのき舞台へ向けて情熱を注ぐ。

 五輪での発表は今年の大きな目標だった。「本県の復興を、伝統芸能の素晴らしさを、踊りを通じて発信したかった。OBからいただいた衣装を身に着けて踊りたかった」。13代目の部長で太鼓担当の生徒(17)=3年=は、五輪延期に伴い踊りのステージが白紙に戻ったことを悔しがる。

 町に伝わる早乙女踊りの保存に取り組み、昨年は伝統文化を継承するその活動が民家の甲子園で大賞に輝いた。全国高校総合文化祭にも参加。その活動が評価され、福島市で行われる五輪のソフトボール・野球会場でのイベントや聖火ランナーの出迎えなどへの出演依頼があったが、コロナの影響で全てがなくなった。学校の休校も続き、6月の練習再開まで、生徒は過去の動画を見るなどしながら自主練習を続けるしかなかった。

 五穀豊穣(ほうじょう)を願い、地元で毎年7月7日に行われる栗村稲荷神社御田植祭での踊り奉納も今年は中止となった。出演の機会が全てなくなるかもしれないと、3年生の案でドローンを使って収録した踊りを動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。

 顧問の矢沢郁代教諭(52)は「生徒の頑張りでいろんなチャンスを引き寄せた。継承はしっかりやりたいという生徒を誇りに思う」と力を込める。

 クラブ員は1~3年の女子生徒25人。他の部活動との掛け持ちが多く、全体練習は8月3~5日に行った後一時休止していて、9月に再開の予定だ。本番までの練習期間は短いが、踊りや歌、笛、太鼓のパートごとに上級生から下級生への指導が行き届く。

 11月のステージでは、踊りや歌を記憶していた町内の高齢者から助言を受けて昨年復活させた「扇の舞」など第1~4章を披露する予定。生徒は「1年生を含めて完璧に踊って、踊りの素晴らしさや高校生の元気を発信したい」ときっぱり。人の心を明るく、人と人との絆を強める力がある伝統芸能の魅力を伝える。