【あの日の中合】憧れの的「エレガ」 「毎日ドラマのようだった」

 

 エレベーター内で操作や案内業務を行うエレベーターガール。かつて、百貨店の花形として女性たちの憧れの的だった。福島市でカフェを営む鈴木弥生さん(59)はバブル真っただ中の1980年代後半、約3年間にわたって中合のエレベーターガールを務めた。

 「『エレガ』は、いわば案内係のスペシャリストでした」。鈴木さんは、エレベーターで30分間業務を行った後、受け付け業務を30分間、その後待機1時間というサイクルで働いた。買い物客の質問に答えるため、朝一番の待機の時間には百貨店の売り場をくまなく歩き、新たにセールが始まった場所などをメモした。

 出張で訪れるビジネスマンも多い県都の中心地。「『お土産は何にしたらいいか』『近くにおいしい店はあるか』などと尋ねられる。デパート以外のことも知っていないといけないので、毎日が勉強だった」

 紺色や赤、黄色など、鮮やかな色の制服は四季に合わせて4種類あった。

 デパートの裏方として幅広い業務を担う一方、華やかなたたずまいは買い物客の注目を集めた。

 鈴木さんはエレベーターの中で、男性から花をプレゼントされたことがあった。エレベーターが上に行っても下に行っても乗りっぱなしで、2人きりで話しかけるチャンスを待つ人もいた。男性客を呼び込むのに効果ありと思われたのか、駅前のディスコはただで利用できた。「いろいろなことが起きて、毎日がドラマのようでした」

 華やかで、エネルギーに満ちあふれていたバブルの時代は過ぎ去り、鈴木さんの青春を彩った福島市最後の百貨店が今月姿を消す。「そこに行けば何か最先端の物が見つかるのではと期待させてくれるのがデパート。なくなることに対してはさみしさより驚きの方が大きいが、時代は変わっていくので仕方ないのかな」。遠くを見つめながら話した。