ファンに惜しまれ閉店 85歳名物ママ、福島の喫茶店

 
常連と最後のひとときを楽しむ菅野さん(中央)

 福島市の喫茶店「かたくりの花 山紫楼」が7月末に惜しまれつつも閉店した。「すてきなお客さんにたくさんかわいがってもらえた」。おおらかな人柄で客を包み込んできた菅野京子さん(85)は目を細めた。

 喫茶店を開業する前は、同市のパセオ通りで小料理屋を営んでいた。県職員などの公務員やマスコミ関係者などが足しげく通う隠れた人気店だったという。

 菅野さんが喫茶店をオープンしたのは、約15年前。古希を迎えるタイミングだった。体を壊したこともあり後ろ向きではあったが、「お昼の時間帯なら」と、同市宮町のクインビル地下1階に店舗を構えた。

 菅野さんがいれるコーヒーや、日替わり定食はたちまち人気を集め、小料理屋時代の常連以外にも新たなファンが集まった。菅野さんが描く絵画が飾られる喫茶店は、誰しもが気兼ねなく集まれる場所になっていた。

◆合言葉は「お互いさま」

 店の特徴は、菅野さんと客との心の距離。壊れた電球を直すのは客で、菅野さんに代わって食材を買い足すのもまた客だった。菅野さんに魅せられた常連が「お互いさま」のエッセンスを加えたのが、菅野さんが営む喫茶店の姿だった。

 ただ、7月までにビルの取り壊しが決まり喫茶店を畳むことになった。今月上旬に、喫茶店でお別れ会が開かれた。約20人の常連が真っ赤なワンピースを着た菅野さんを囲んだ。

 「京子さんありがとね」「キョンキョンさんのおかげでたくさんの人と知り合えたよ」。常連は感謝の言葉を次々と送り、菅野さんは万感の思いでこう答えた。

 「みんなのおかげで毎日営業するのが楽しかった。こちらこそたくさん面倒見てくれてありがとね」