【あの日の中合】舌戦はいつも店舗前 にぎわう駅前「福島の顔」

 
今月いっぱいで閉店する中合を見つめる瀬戸さん

 「中合で買い物するのがステータスという時代があった。あのおなじみの包装紙にくるまれると、何でもブランド品のように感じられたね」。元福島市長の瀬戸孝則さん(73)=同市瀬上町=は間もなく閉店を迎える中合の前に立ち、当時に思いをはせた。中心市街地の活性化に長年取り組んできたため「福島駅前に立地する『福島の顔』の老舗が閉店するのは寂しいね」と残念がった。

 青春時代は、中合が大町の旧店舗で営業しており、市中心部へ向かう路面電車(すでに廃線)で出掛けて、よく屋上の展望台などで遊んだ。福島高を経て早稲田大法学部を卒業し、帰郷した。複数の会社で働いた後、不動産関係の会社を設立して各地の商業ビル建設に携わった。「当時は福島青年会議所メンバーとしても福島の活性化に携わった。駅前ににぎわいを持たせようと必死に取り組んだ」

 県議4期を経て2001年から福島市長を3期12年務め、この間、中心市街地の空洞化防止にも取り組んだ。郊外にスーパーや大型店が増え続け、中心部の停滞ムードは避けられない状況だったが、それでも「福島の顔」は健在だった。

 人通りの多さから、選挙の舌戦の舞台となるのは決まって、中合前の福島駅前通り。安倍晋三首相をはじめ、与野党の数々の大物が中合前でマイクを握り、支持を訴えてきた。

 瀬戸さんが市長を退いて約7年。中合を含めた福島駅東口周辺は大型複合施設を建設する再開発が計画されている。商業店舗やホテル、マンション、市が整備する交流・集客施設などが入る予定で、県都の玄関口の活性化が期待される。

 「中心市街地の活性化はいつだって市政の重要な課題。新しい『福島の顔づくり』をぜひ成功させてほしい」。瀬戸さんは福島の将来を見つめ、ぽつりと語った。(おわり)