高の倉、横川ダム...大雨備え「事前放流」 南相馬市が治水協定

 

 南相馬市は31日、同市にある利水ダムの高の倉(新田川水系)横川(太田川水系)の両ダムについて、大雨に備えてあらかじめ水位を下げる事前放流の実施など新たなルールを盛り込んだ治水協定を県や利水者と結ぶ。季節ごとに水位を設定することで貯水容量を確保、被害軽減につなげる。

 高の倉、横川とも治水機能を持たない農業、工業用ダムで、市が県の委託を受けて管理する。昨年10月の東日本台風(台風19号)で高の倉が緊急放流され、下流で浸水被害が出たことから、市が県に事前放流の制度化などを要望していた。

 協定により、市は県や利水者の同意を得なくても事前放流が可能になる。洪水につながる大雨が予想される3日前から事前放流で水位を下げ、一時的に治水機能を持たせる。市によると、3日間の事前放流により高の倉は約60万トン、横川は約120万トンの貯水容量を確保できる。

 また農業、工業用水の使用状況に応じて水位を季節ごとに設定。従来の県の管理規定では貯水率100%を目指すことが定められているが、協定では水位を最高で85%、最低で58%、台風が発生しやすい夏から秋にかけては70%前後に設定する。

 事前放流の議論は2018(平成30)年7月の西日本豪雨や、東日本台風などで甚大な被害が発生したのを機に本格化した。県内では高柴、四時両ダム(いわき市、鮫川水系)や、阿武隈川水系の13ダムで事前放流の治水協定が結ばれている。関係者によると、高の倉、横川以外の県内の利水ダムでも同様の治水協定を結ぶ動きがあるという。