福島県漁連、本格操業への『道筋』 復興計画9月1日スタート

 

 県漁連の新たな漁業復興計画が9月からスタートする。国の助成事業を活用し、第1弾として相馬双葉漁協の主力となっている沖合底引き漁船の水揚げ量の増加を図る。新造船導入や出漁数を増やすなどの対策を進め、現在は東日本大震災前の2割程度にとどまる水揚げ量を、5年間で6割程度まで回復を目指す。本県漁業は操業日数を限定した試験操業を続けているが、計画に基づき水揚げを底上げし、本格操業への道筋をつくる方針だ。

 ◆◇◇月単位で見直し

 県漁連の計画は、昨年7月に本県の試験操業では初めて、国の「がんばる漁業復興支援事業」に認定された。試験操業では漁獲の上限を定めていたが、今回の計画ではどれだけ取れるか―という目標を定めるのが特徴。これまでの水揚げ量と計画に基づく将来推計は【グラフ】の通りで、沖合底引き漁船23隻による2024年の水揚げ総量の目標を2888トンと定めた。

 目標を達成するため、月単位で操業計画を柔軟に見直し、各船を漁期や船の特性に応じて適切な漁場に配船するなどの工夫を凝らす。また、これまで保護区としてきた小型魚の多い水深の浅い海域についても、科学的なデータに基づき資源維持に配慮しながら、操業海域に加えることも検討する。買い受け人との情報共有の場を年12回ほど設け、販路の回復も目指していく。

 ◇◆◇「船齢」引き下げ

 計画の先駆けとなる相馬双葉漁協の沖合底引き漁船は、国の助成を活用して23隻のうち7隻を新造する。9月1日には、新造第1号船の「第3恵永丸」が松川浦大橋周辺の港から初の漁へ出港する予定だ。船頭の高橋英智さん(57)は「力を合わせて目標を達成し漁業の復興につなげたい」と語り、出港の準備にも熱が入る。

 23隻の全乗組員のうち、18人が震災後に新規就業した。一方、船の更新は停滞しており、老朽化が地域漁業の未来に影を落としていた。今回は新造船の購入に加え、新造船導入で不要になる船のうち比較的新しい4隻を老朽船に乗っている漁師に譲ることで、全体の「船齢」を引き下げる。地元の船頭会長も務める高橋さんは「頼もしい若手がいる。20年、30年先を考えなくてはならない」と語る。

 高橋さんの船にも、長男佑輔さん(32)、次男慎弥さん(27)、3月に水産高を卒業したばかりの若手という、3人の新世代の漁師がいる。佑輔さんは「新船導入で漁業が活気づいてほしい」と期待を込める。

 ◇◇◆11月は巻き網漁

 計画の実施を前に昨年12月から、漁師たちは地元の相双沖のほかいわき地区でも底引き網漁を行うなど、震災前の操業形態を取り戻そうとしてきた。県漁連は「ベテラン漁業者の勘を取り戻したり、若手が経験を積んだりするなど、目標達成に向け弾みがついた」としている。

 今後は相馬地区の沖合底引き船に続き、巻き網漁が11月、サンマ棒受け網漁が来年8月から漁獲量増加に向けた計画に取り組む予定で、漁業再生への一手を打ち出していく。