おつかれさま...「たくさん思い出ありがとう」 中合福島店閉店

 
店内に貼られたコメントボード。閉店を惜しむ声や感謝のメッセージが寄せられていた=31日午後0時45分ごろ

 「たくさんの思い出をありがとう」。最後の別れを告げる大勢の買い物客でにぎわった31日の中合福島店。午後から雨が降ったが客足は途絶えず、閉店時刻には、常連客らがシャッターが閉まる様子を涙ながらに見守った。地元に愛された老舗百貨店の最後の一日を追った。

 いつも一番乗り

 午前9時40分ごろ 開店を待つ人が列を作った。先頭は市内から訪れた非常勤職員の女性(43)。「各地のおいしい物を集めた物産展が開催されるときもこうやって並び、一番乗りした。これから一番乗りができなくなるのはさみしい。学校を卒業するような気持ちです」。午前10時に店が開くと、約30人が店に入った。

 おなじみの「味」

 昼すぎ デパートの閉店とともに店を畳む6階のレストラン「サンダース」に、順番待ちの列ができた。中合に勤務した経験がある福島市の女性は冷やしラーメンとアイスクリームを食べ、「この味は忘れられない」と笑顔。勤務していた当時と変わらない温かみのある接客の様子を眺めながら「やっぱり中合はすてきだな」と目尻を下げた。

 黒崎社長が謝辞

 午後1時 新型コロナウイルスの影響で閉店時のセレモニーなどがなくなった代わりに、黒崎浩一社長が店内アナウンスで感謝を伝えた。「福島の地で皆さまから長年ご愛顧いただいたことは喜びでした。中合の社員を代表して心より御礼申し上げます」

 出入り口お辞儀

 午後4時15分ごろ 地下歩道につながる地下1階の出入り口。福島市の御山小1年、女子児童(7)はデパートを出るとすぐ、出入り口の方を向いて深々と頭を下げた。「この子のランドセルはここで買った。『お世話になりました』という気持ちを込めてお辞儀したそうです」。母親(39)が娘の気持ちを代弁した。

 『惜別』...全身コーデ

 午後7時 閉店時刻。雨の中、100人以上が下りるシャッターを見守った。両親が中合の従業員時代に職場結婚したという福島市の男性(48)は次女(9)と訪れた。「子どもの頃は中合でおもちゃを買ってもらうのが楽しみだった」と涙ぐんだ。桑折町の女性(78)は、店内の服飾店でそろえた「中合コーディネート」で立ち会った。「つま先から頭まで、中合。大ファンでした」。もう開くことはないシャッターを見つめ、目頭を拭った。