「セシウム濃度」...一時上昇 福島大分析、台風19号で土砂流出

 

 福島大環境放射能研究所の高田兵衛特任准教授(43)らの研究グループは、昨年の台風19号通過前後の海水を分析し、陸地の土砂などに含まれる放射性セシウムが河川を通じて海水に溶け出し、海水中の放射性セシウムの濃度に影響を与えたとの研究結果をまとめた。

 高田氏が2日、同大の定例会見で示した。研究結果は、アメリカ化学会の学術誌「エンビロンメンタル サイエンス テクノロジー」にも掲載された。

 研究では昨年6~10月、東京電力福島第1原発から南に10~60キロの河川の下流、河口付近、沖合の計25地点から水を採取。ろ過した後、海水に溶けた「溶存態」と、土砂などに付着した「粒子態」の放射性セシウム濃度をそれぞれ測定した。

 その結果、溶存態の放射性セシウム濃度は本県沿岸部で、通過前の平均1リットル当たり8ミリベクレルから、通過後は同39ミリベクレルと約5倍に上昇した。食品基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超える可能性がある海水中の溶存態放射性セシウム濃度は1リットル当たり1000ミリベクレルのため、濃度上昇による健康への影響はないという。

 粒子態は沿岸部と河川でそれぞれ上昇。台風で土砂が流出した影響とみられる。

 高田氏によると、海水の溶存態の放射性セシウムのうち約3割は、河川から運ばれた土砂が溶け出したものだったという。高田氏は「台風などによる河川から海への土砂流出の過程を詳しく調べる必要がある」としている。