福島の今伝える 郡山出身・吉田さん、風評払拭へ海外で情報発信

 
協力隊の派遣先で教え子に囲まれる吉田さん

 郡山市出身の吉田雪絵さん(32)は、トリニダード・トバゴの日本大使館で「草の根・人間の安全保障無償資金協力外部委嘱員」として働いている。これまで2カ国で働いたが、9年前の東京電力福島第1原発事故に伴う福島県の風評がいまだに払拭(ふっしょく)されていないことを実感したという。「自分の故郷が勘違いされているのは悲しい」。福島の現状を正確に伝え、風評被害をなくそうと努力を重ねている。

 吉田さんが国際協力に興味を持ったきっかけは、語学留学時に出会ったアフリカのエリトリアから来た学生との出会い。発展途上国である自国の発展を目標に、勉学に励む彼の姿に感化され、「彼らのために何かできることはないか」と考えるようになった。国際協力の道へ進もうという思いが強まった。

 留学を終え帰国した後、電気設備設計・施工管理会社に入社し、太陽光発電設備の設計などに携わった。仕事での経験を生かし、2017(平成29)年3月から19年3月まで、カリブ海にあるセントビンセント・グレナディーン諸島で青年海外協力隊員として活動した。短期大学の工学部に配属され、主に電気科の2年生(17~18歳)を対象に太陽光発電整備の基礎教育、実習を行った。

 生徒との交流の中で印象に残った出来事がある。生徒に故郷を紹介する際、福島県出身だと答えると、「人が住める所なの?」と驚かれたことだ。

 「日本の真裏のカリブの国の人々も原発事故を知っていた」。このままでは故郷に悪いイメージを持たれたままだと思い、情報発信に努めるようになった。郡山市の自宅の周囲にある田んぼや会津若松市の鶴ケ城などの写真を見せ、「今も家族はここに住んでいる」と伝え続けた。

 在住しているトリニダード・トバゴでは、小学校のトイレを新設するなど、現地の人の要望に沿った活動を行っている。同国でも福島は住めない場所だと認識している人が少なくないという。

 吉田さんは「新型コロナウイルスの影響で一層援助の必要性が高まっている。今後も国際協力の分野に携わりたい。正しい福島の現状を伝えていきたい」と抱負を語った。