豊かな自然...次世代に『継承』 磐梯朝日国立公園・70周年式典

 
山との関わりについて語るパネリストの佐藤氏(左から2人目)ら

 磐梯朝日国立公園は5日、指定から70周年を迎え、記念の式典とシンポジウムが北塩原村で開かれた。出席者が豊かな自然を守り、次世代に継承することを誓った。

 環境省、県、北塩原村の主催。式典には国立公園が立地する福島、山形、新潟の3県の関係者約100人が出席した。小泉進次郎環境相が「3県それぞれの地域の魅力に多くの方が触れられる機会をつくりたい」、内堀雅雄知事が「ポストコロナ社会を見据え、ワーケーションの聖地を目指して交流人口の拡大に積極的に取り組む」とあいさつした。小椋敏一村長は「経験に新しい要素を加え、自然公園を満喫できる事業展開を目指す」と述べた。

 続いて、裏磐梯観光大使で歌手の普天間かおりさんが裏磐梯小の全校児童29人と共にステージに登場。村内の小学生から募った詩をもとに普天間さんが作詞、作曲した「僕の誇り」を合唱した。

 記念シンポジウムでは、2017(平成29)年にみんゆう県民大賞を受賞したタレントのなすびさん(福島市出身)が「私と山との関わりについて」と題して講演したほか、関係者が「祈りと恵みの山々」をテーマにパネル討論を繰り広げた。福島民友新聞社から中川俊哉社長が出席した。

 磐梯朝日国立公園は1950(昭和25)年9月5日に国内で17番目の国立公園として指定された。面積は約18万6400ヘクタールで、陸地では大雪山に次いで2番目の大きさ。

 自然の観光活用探る 植生回復、登山道手入れ提案

 北塩原村で5日開かれた磐梯朝日国立公園70周年の記念シンポジウムでは、出席者が講演やパネル討論を通して豊かな自然環境を観光資源として活用する方策を探った。

 パネル討論に登壇したのは大和川酒造店(喜多方市)会長の佐藤弥右衛門氏や慶大先端生命科学研究所研究員でまたぎとしても活動する鵜野レイナ氏ら6人。福島大客員教授の小沢晴司氏が進行役を務めた。

 佐藤氏は日本酒造りの経験から「自然の恵みを頂いて生きてきた」との思いを持っていると説明。「山は豊かさの象徴。山に降った雨や雪が流れて、町や村の個性的な文化ができる」と述べ、山が連なる会津地方には地域ごとに豊かな歴史や文化が息づいていると紹介した。鵜野氏は鳥獣対策で山に入り、クマを捕獲して遺伝子分析を行っていることに触れながら、自然保護に携わる人材を育てるには子どものころから自然の中で遊ぶ体験を積ませることが重要だと指摘した。

 また飯豊連峰保全連絡会・朝日連峰保全協議会アドバイザーの川端郁子氏は山をより多くの人に楽しんでもらうために植生回復の取り組みが必要と語り、少人数で小まめに登山道を手入れすることを提案した。

 NPO法人日本ジオパークネットワークの斉藤清一事務局長はジオパークを活用した観光や教育について報告。「『磐梯山ジオパークカレー』のように新たな魅力を引き出すことが大切」と述べた。東北森林管理局の香月英伸計画保全部長は戦時中の過剰な森林伐採で山が荒廃したが、現在は手入れが行き届いていない状況にあることを説明した。

 エベレスト登頂を果たしたなすびさんは、登山を楽しむと同時に自然を守らなければならないと強調。米先住民の言葉として「地球は子孫から借りているもの」を紹介し、次世代につなげるためにも、大量消費や大量生産を見直すべきだと訴えた。