インフル流行対策必要 立谷市長、「福島モデル」医療体制十分

 

 立谷秀清相馬市長は福島民友新聞社の取材に、新型コロナウイルスとの区別が難しいインフルエンザの流行をできるだけ抑えることが新型コロナ対策には必要だとして、インフルエンザワクチンの接種を早期に実施すべきだと述べた。(聞き手 社長・編集主幹 中川俊哉)

 ―県内の8月の感染者数は72人に上り、1カ月間の数として最多を更新した。前月までゼロだった会津で8月以降感染者が増えているほか、郡山市では複数のクラスター(感染者集団)が発生している。現状をどう見るか。
 「現状を第2波と表現していい。4月ごろの第1波の入院患者は最大で49人だったが、現在の入院患者はそれよりも多い。新型コロナに感染し、医療の提供が必要になった人に医療を提供できなくなった状態を医療崩壊というが、本県は第2波にあっても必要十分な医療を提供できる体制を構築している。病状に応じた適切な医療を提供できるかどうかが一番大事だが、本県は重症患者に対応する病床も40床程度確保しており、今後さらに感染が拡大したとしても十分対応可能だ。福島医大を頂点に各医療機関をネットワークで結んだピラミッド型の医療体制が機能している。『福島モデル』ともいえる本県独自の体制だ。『3密』を避けるなどの基本的な感染予防対策は必要だが、いたずらにおびえるような状況にはないことを強調したい」

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 ―インフルエンザが流行する冬場に向けて求められることは。
 「第2波の状況が今後とどまっていくのか、拡大するのか分からないが、警戒を強めないといけない時期にある。冬場に向かうにつれて発熱者の発生が増える。例年インフルエンザが流行する12月から来年1月が勝負の時期になる。新型コロナとインフルエンザを同時に意識した診療が必要で、相馬市の発熱外来ではスピーディーに判断するため9月から新型コロナの抗原検査を導入している。新型コロナとインフルエンザは症状だけでは区別することができないので、できれば新型コロナの検査とインフルエンザの検査を同時に行いたい。新型コロナの感染を防ぐためには紛らわしいインフルエンザをできるだけ抑える必要があり、ワクチンの接種は有効だ。ただし、インフルエンザワクチンを接種している人も、両方の検査を行う必要がある。高齢者優先で、できるだけ早期に経済的な負担がなく受けられるよう、全国市長会を通じて国に要望していきたい」

 ―ほかに対策を講じておくべき分野はあるか。
 「災害避難所の在り方について考えなければならない。昨年の東日本台風(台風19号)は甚大な被害をもたらしたが、今年もどんな大雨、台風が来るか分からない。災害時にわれわれ行政は避難所を設置するが、避難所では各家族の間隔をこれまでよりも空ける必要がある。このため、昨年と比べてはるかに多くの避難所を開設する必要がある。また、熱が高い人がいる家族の扱いを決めておかないと、コロナ時代の避難所の設営はできない。そうした家族のための避難所も用意しなければならない。避難所には発熱外来の出張所のような機能も必要になるだろう」

 ―新型コロナを巡っては感染者に対する非難や中傷が社会問題になっている。一方で、感染した人やその周囲の人たちを励ます声も寄せられている。
 「適切な行動を取り、十分気を付けていても感染してしまうケースはあり、これはしょうがないと思う。社会と隔絶された病室で、退院まで病気と闘っている人を、われわれ社会は励まさないといけない。感染した人をみんなで責める社会だと、人々は感染それ自体よりも、感染して非難されることを恐れるようになる。それは新型コロナという病気によるダメージよりも大きいのではないか。不幸にして感染してしまった人を社会のみんなで励ます文化をつくっていく必要がある」