「ゲノム修復」大幅短縮!福島医大新開発 時間など3分の1に

 

 福島医大甲状腺内分泌学講座の横内裕二特任教授、鈴木真一教授らの研究グループは、ヒトの遺伝情報(ゲノム)の異常を正常化することで治療につなげる「ゲノム修復医療」を巡り、遺伝子の修復にかかる時間やコストを従来の3分の1まで短縮できる新たなゲノム編集の技術を開発した。横内氏は「コストの大幅な抑制により(ゲノム編集が)産業として大いに成立する可能性がある」と成果を強調した。9日、同大が発表した。研究成果はネイチャー関連誌の「サイエンティフィックリポーツ」の電子版で発表している。

 ヒトのDNAは二重らせん構造をしており、個々の遺伝子は一対で存在している。その片方に異常があるだけで遺伝性疾患の原因となる。ゲノム修復医療は、異常がある遺伝子の配列部分をはさみで切るように切り離し、新たな遺伝子を導入することで「編集」し、正常化する治療法だ。世界中で基礎研究が進んでいる。

 横内氏によると、ゲノム編集では、遺伝子の特定の部分を切り離すために酵素を使用する。従来の手法では、狙った配列と似たような場所を切ったり、異常のある部分を見逃したりすることを防ぐため、2度の遺伝子操作が必要だった。1回当たり2~3カ月を要し、費用も高額という。

 今回開発した技術は、事前に患者本人の血液で作ったiPS細胞を準備し、確実に狙った配列だけを切断できるような酵素を選ぶ。この酵素を使用することで、遺伝子操作は1度で済み、遺伝子を3週間程度で修復できた。また、この方法を応用したところ、従来は副作用の可能性があるため困難とされていたゲノムの範囲でもゲノム編集を可能にすることに成功した。

 横内氏は治験などを踏まえると、実用化には最短でも5~6年程度かかるとする。研究を進めさらに修復効率を高めれば「iPS細胞や組織幹細胞を起点とした、ゲノム修復サービスへの道が開ける」と期待する。動植物の幹細胞にも適用できるとし、「品種改良など幅広い分野に応用が可能」と展望を語った。