「豚熱ワクチン」来週中にも接種開始 若松で野生イノシシ感染

 

 会津若松市で死んだ野生イノシシの豚熱(CSF)感染が確認されたことを受け、県は来週中に豚へのワクチン接種を始める。当初は10月開始を予定していたが、前倒しする。イノシシが見つかった場所の半径10キロ圏内にある二つの養豚場を優先し、会津地域から順次、全県に拡大する。

 10日、県庁で緊急会議を開いて説明した。県は「想定より早く感染が確認され、非常に危機感を持っている」(畜産課)とし、ワクチン接種の開始時期など防疫体制の構築を急ぐ。県内には83農場に約12万頭の豚がおり、ワクチン接種が完了するには3~4カ月程度かかるとしている。

 県は半径10キロ圏内を豚の移動制限区域に設定。同圏内には二つの農場と一つのと畜場があるが、と畜場に搬入された豚と農場の豚の異常は確認されていない。異常がない豚は移動制限の対象外にできるため、県が調整を進めている。また県は、県内全ての農場の豚に異常がないことも確認。感染リスクを抑えるため、消毒の徹底や豚の健康観察などを周知した。

 緊急会議では野生イノシシの捕獲強化に向け、「捕獲重点エリア」を設定することも決定。捕獲後、豚熱の抗体検査を強化することや防護服を着用するなど狩猟者の衛生対策も実施する。県民に対しては、豚熱に対する不安解消を図るため各保健所に相談窓口を設置。ホームページを活用し、豚熱は人に感染せず、仮に感染した豚の肉や内臓を食べても人体に影響がないことなどを発信する。

 県によると、今回確認された豚熱のウイルスは、2018(平成30)年に国内で26年ぶりの感染が判明した岐阜県のウイルスと同じ系統。感染経路について県は「疫学調査は今後、国と連携するが、ウイルスの系統が分かったので、何かしらのヒントになる可能性はある」としている。

 野生イノシシの豚熱感染が確認されたのは県内初で、東北でも初めて。

 半径10キロ「異常ない」

 感染確認された野生イノシシの発見場所から半径10キロ圏内にある養豚場の男性は電話取材に「施設の消毒は終わった。豚に異常はない」と現状を語り、「豚に感染しないか心配」と述べた。同じ半径10キロ圏内にある別の養豚場の女性は「気を付けるといっても自分たちだけではどうしようもない部分があり心配」と困惑し、「うちは小規模だが、ワクチン接種が早まるのはありがたい」と語った。