22年春から長期滞在「準備宿泊」 富岡・復興拠点、国と調整へ

 

 富岡町は東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)について、2022年春から住民が夜間を含め長期滞在できる準備宿泊を始める方向で国と調整する。宮本皓一町長が15日に開会した9月議会の一般質問で明らかにした。

 町は目標とする23年春の復興拠点全域の避難指示解除を見据え、住宅の新築や家屋の清掃など帰還に向けた準備に1年程度が必要と判断し、準備宿泊の開始時期を設定した。準備宿泊の開始に合わせて、復興拠点内の全てのバリケードを撤去し、誰でも自由に出入りできるよう立ち入り規制も緩和する見通しだ。

 復興拠点の面積は帰還困難区域の約46%に当たる約390ヘクタール。このうち宅地は約76ヘクタールで、震災前は人口約1万6千人の2割強に当たる約4000人、約1800世帯が住んでいた。国による除染は来年秋ごろに終了する見込みで、上下水道の復旧など生活環境の整備も進んでいる。

 事実上の帰還開始へ 居住人口1600人目標

 富岡町が国と調整を進める2022年春の準備宿泊開始に伴い、事実上の住民帰還が始まる見通しだ。町は特定復興再生拠点区域(復興拠点)全域の避難指示解除を目指す23年春から5年後の復興拠点内の居住人口の目標を約1600人と設定、帰還促進に向けた新たなまちづくり計画を進める。

 準備宿泊は23年春まで続けられるという。震災前、復興拠点内の地域には約4000人が暮らしていたが、町は住民意向調査などを踏まえ、居住人口の目標を約1600人とした。復興拠点内では国による除染やインフラ復旧が進み、町も健康増進施設や買い物環境の整備、公園と町営住宅の復旧などを計画する。町は準備宿泊期間中に住民の意見を聞いて課題を洗い出し、生活環境の一層の向上につなげる方針。

 準備宿泊に合わせ、復興拠点内の全てのバリケードを撤去し、立ち入り規制も緩和する見込み。緩和時期について、9月議会の一般質問で議員の一人は「(住民は)家の中の状況を改善しなければならない」と述べ、準備宿泊開始に先立ち住居が清掃などで自宅に入れるよう配慮を求めた。

 規制緩和で住民以外も復興拠点に出入りできるようになり、にぎわい再生の足掛かりとなる。

 一方で防犯対策が課題となり、町は国や民間と連携した警戒活動の強化を検討する。

 復興拠点を巡っては、3月にJR常磐線夜ノ森駅と周辺の道路計約7ヘクタールの避難指示が先行解除された。復興拠点から外れた帰還困難区域約460ヘクタールについては、町が国に対して除染を徹底した上で早期に避難指示を解除するよう求めている。