自主防災組織結成へ動き加速 東日本台風から間もなく1年

 
自主防災組織の設立に向けて話し合いが行われた本宮5区の役員会

 県内に甚大な被害をもたらした昨年10月の東日本台風(台風19号)から、間もなく1年となる。全国各地で台風や大雨などの災害が相次ぐ中、県内では被災地を中心に地域住民が助け合い、災害に備える自主防災組織結成の動きが広がっている。

 ◆本宮5区組織設立準備

 「まずは地域の意思疎通をしっかり図ることが大切。住民の安全、安心のためにご協力をお願いしたい」。東日本台風で大きな被害が出た本宮市。16日に行われた本宮5区町内会の役員会で加藤一男会長(72)は、役員らに自主防災組織設立に向けた協力を呼び掛けた。

 110世帯ほどが暮らしていた本宮5区は、近くに阿武隈川と支流の安達太良川が流れ、東日本台風では市中央公民館などの公共施設も含め、広く浸水した。さらに避難が間に合わなかった住民1人が犠牲となった。住民の中には避難所の場所が分からなかったり、逃げ遅れて自宅から救助されたりした人もいたという。

 本宮5区は元々複数の地区が集まってできたため、町内会活動が活発ではなく、災害時の連絡体制もなかったことから「地域のつながりづくり」を一つの目標に住民が設立準備を始めた。

 住民負担も考慮しながら地区を四つの班に分け、それぞれでリーダーや情報・避難誘導、救出・救護などの係を選び、連絡体制の構築から進める予定だ。会議では「住民に活動を理解してもらうため、文書を作って知ってもらおう」などの意見が出たほか、自宅解体のため避難を続ける住民らへの対応などの課題が出た。加藤会長は「自主防災組織が、素早い避難につながるような住民の防災意識の向上につながれば」と話す。

 市内では東日本台風の際、自主防災組織による住民同士の連携で浸水家屋から住人が救助されるなど、有効な避難につながった事例があった。一方で、市によると、市内の自主防災組織は行政区全体の約3分の1にあたる35団体にとどまる。水害ハザードマップの浸水区域の約8割には自主防災組織が設置されているが、市は組織率100%を目指し、資機材購入などの補助制度の周知などを図っている。

 ◆いわき市、行政区の8割整備

 東日本台風で同様に甚大な被害が出たいわき市でも自主防災組織の整備の取り組みが進む。

 市内では今年4月1日現在、行政区全656地区のうちの約8割、533地区で結成された。ただ未結成も100地区以上あり、将来的な全地区での防災組織結成を目指して市が行政区長らと協議を進めている。

 人口減少などの観点から、1行政区に1組織を置くことが困難なケースも想定され、市は隣接する行政区同士で組織をつくることも検討している。市の担当者は「必ずしも1地区1組織ではなく、地域に穴が生じないように、組織の結成を促したい」としている。